彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




なんとか話す方法はないかと思案していた時だった。

パンク系の音楽が流れる。



「もしもし。」



発信元は、黒木のスマホだった。



「お疲れ様っす!え?今ですか?はい、はい・・・」



耳にスマホをあてたまま立ち上がると、瑞希お兄ちゃんの顔に自分の顔を寄せながらかがむ。



(セクハラ!?)



一瞬警戒したけど、そうではなかった。

黒木は瑞希お兄ちゃんの耳元でなにかささやくと、私達から離れて行った。



「なんですって?」



すぐさまお兄ちゃんに聞けば、興味なさげに彼は答えてくれた。



「ちょっと席をはずす、だって。わざわざ言うことかしら・・・」

「わざわざそんなことを!?ホント、なんなんでしょうね!?」



(私のお兄ちゃんなのに!)



すっかり旦那気取りじゃない!?



プンプン怒れば、瑞希お兄ちゃんが私のほっぺを指でプニッと押す。



「な、なんですか?」

「別に。」



うっすら笑いながら、またプニッと押す。



「お・・・お姉さん!からかわないでください!」



注意を込めていれば、美しい人は笑った。



「冗談よ。」



色っぽい仕草にドキッとする。



「やっと、2人きりになれたわね?」

「え、ええ!あの、ミクお姉さん、そろそろだと思うんですが~」

「なにが?」

「なにって、それはー」

「続いては、9番ちゃん!」



私の言葉に司会者の声がかぶる。



「ドラッグ使用可能の美少女です!」

「あ。」


目に飛び込んできたのは――――




「なずなちゃん!」

「知り合いなの?」

「は、はい!会長さんが探してる家出人ですよ。」

「なに?」




そう伝えれば、瑞希お兄ちゃんの顔つきが変わる。

私も舞台に立つなずなちゃんを凝視する。

彼女は真っ青な顔をしていた。

無理もない・・・自分が売られる立場なんだから怖いよね。



(助けに行こう・・・)



そう思って、瑞希お兄ちゃんの膝の上で体を動かしたしたら抱きしめられた。



「み・・・ミクお姉さん?」

「ダメよ。」



鋭い目で瑞希お兄ちゃんが言う。



「まだ、助けに入る時じゃないわ。」

「ですが、このままでは落札されてー」

「お値段、200万です!他にございませんか?」



話している間に、なずなちゃんが落札直前となる。