なんとか話す方法はないかと思案していた時だった。
パンク系の音楽が流れる。
「もしもし。」
発信元は、黒木のスマホだった。
「お疲れ様っす!え?今ですか?はい、はい・・・」
耳にスマホをあてたまま立ち上がると、瑞希お兄ちゃんの顔に自分の顔を寄せながらかがむ。
(セクハラ!?)
一瞬警戒したけど、そうではなかった。
黒木は瑞希お兄ちゃんの耳元でなにかささやくと、私達から離れて行った。
「なんですって?」
すぐさまお兄ちゃんに聞けば、興味なさげに彼は答えてくれた。
「ちょっと席をはずす、だって。わざわざ言うことかしら・・・」
「わざわざそんなことを!?ホント、なんなんでしょうね!?」
(私のお兄ちゃんなのに!)
すっかり旦那気取りじゃない!?
プンプン怒れば、瑞希お兄ちゃんが私のほっぺを指でプニッと押す。
「な、なんですか?」
「別に。」
うっすら笑いながら、またプニッと押す。
「お・・・お姉さん!からかわないでください!」
注意を込めていれば、美しい人は笑った。
「冗談よ。」
色っぽい仕草にドキッとする。
「やっと、2人きりになれたわね?」
「え、ええ!あの、ミクお姉さん、そろそろだと思うんですが~」
「なにが?」
「なにって、それはー」
「続いては、9番ちゃん!」
私の言葉に司会者の声がかぶる。
「ドラッグ使用可能の美少女です!」
「あ。」
目に飛び込んできたのは――――
「なずなちゃん!」
「知り合いなの?」
「は、はい!会長さんが探してる家出人ですよ。」
「なに?」
そう伝えれば、瑞希お兄ちゃんの顔つきが変わる。
私も舞台に立つなずなちゃんを凝視する。
彼女は真っ青な顔をしていた。
無理もない・・・自分が売られる立場なんだから怖いよね。
(助けに行こう・・・)
そう思って、瑞希お兄ちゃんの膝の上で体を動かしたしたら抱きしめられた。
「み・・・ミクお姉さん?」
「ダメよ。」
鋭い目で瑞希お兄ちゃんが言う。
「まだ、助けに入る時じゃないわ。」
「ですが、このままでは落札されてー」
「お値段、200万です!他にございませんか?」
話している間に、なずなちゃんが落札直前となる。


