「フダ、なくさないように持ってるのよ~蓮君?」
「うん・・・」
思わぬ色っぽさに、首を縦に振れば、よしよしと頭を撫でられた。
(女装お兄ちゃん、思った以上にセクシー!)
「な、なあ、ミク~」
「うるさいわよ。静かにしてくれないと聞こえない。」
そっけなく黒木に返すと、舞台に向ける瑞希お兄ちゃん。
冷たくされつつも、どこか嬉しそうな顔でステージを見る黒木。
(すごいな、瑞希お兄ちゃん・・・)
私だけが、好きな人から目が離せなかった。
私も頑張れば、瑞希お兄ちゃんみたいになれるかな?
〔★凛には不向きだろう★〕
ずっと瑞希お兄ちゃんを見ていたかったが、事態はそうもいかなかった。
「それでは1人目!Gカップの妹系の1番ちゃんです!」
そのアナウンスで我に返る。
(いけない!瑞希お兄ちゃんに見惚れてる場合じゃないわ!)
私の目的は、この悪しき取引現場から家出っ子達を救うこと!
「・・・今は、様子見だからね?」
「!?」
そんな私に、瑞希お兄ちゃんが耳元でささやく。
「合図を待つのよ?」
「・・・はい。」
小声で私に注意を促す。
それで、上がりそうなテンションを下げながらうなずく。
(瑞希お兄ちゃんの言う通り、まだ様子を見る段階・・・)
流行る気持ちを抑えながらステージを見る。
舞台にいる女子の集団の中から、1人少女が数歩前へと歩み出る。
最前席ということで、おびえている表情がよくわかった。
センターの位置に立ったところで、司会者が叫ぶ。
「この子は、10万からのスタートとなります!」
それで隣の席の人を含めた数名が札を上げながら叫ぶ。
「15万!」
「20万!」
「28万!」
「50だ!」
「70万!」
どんどん音がつり上がり、落札希望者も絞られていく。
「160万!それ以上は、いらっしゃいませんか!?」
司会者が会場の客に問いかける。
返事が返ってこないことを確認すると言った。
「では、1番は160万でムチムチショップのお買い上げでーす!」
カンカン!とハンマーを叩く音が響く。
1番の子は、青い顔で自分を買い取った男がいる席へと連れて行かれる。


