彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




無理やり座らされた席は、良い素材が使われていた。

凛と引き離され、上の階へと拉致された。



「ここは、VIPしか入れない部屋なんだぜ?」



得意げに言う男の言葉通り、さっきの部屋よりも質は良かった。

調度品は高級だし、床はペルシャ絨毯(じゅうたん)が使われている。

周りの客が使っているグラスや皿もブランド品だ。

ついでに言えば、この部屋にいる客達は、伊織がリストアップしていたメンツばかり。



(親の金で事件をもみ消してる常連ばっかじゃねぇーか・・・)



質にとは真逆の人間の質の悪さに呆れていれば、俺を連れて着た男が変な声で語り掛ける。



「俺、黒木って言うだ。ねぇ、名前は?」

「さっきの子を連れて来たら、教えてあげる。」



凛を連れて行かれ、イライラが止まらない。

可愛い弟を要求すれば、気持ちの悪い声で聞いてくる。



「なに?可愛い系が好きなの?」

「ショタコンだからね。」

「ぶっ!?マジで~!?もったいないなぁー」



そう言いながら、俺の腰をなでる馬鹿を殴りたくて仕方ない。



「この町に、お前ほどの女がいることを知らなかった自分が情けないぜ。」

「いいから、5番の子を連れてきて。」

「連れて来たら、俺のお願い聞いてくれる。」

「いいわよ。」

「おい!5番のガキ連れて来い!」



黒木が命じれば、黒服ではない男が動く。



(雇ってる店員じゃなく、直属の部下か・・・)



「マジ可愛い~ねぇ、何飲む?酒?それともジュース?甘いカクテルもあるけど?」

「5番が来るまで飲まない。」



ベタベタする馬鹿をあしらいながら、可愛い凛の到着を待った。



〔★敵のLOVEアプローチ、瑞希には通じない★〕