無理やり座らされた席は、良い素材が使われていた。
凛と引き離され、上の階へと拉致された。
「ここは、VIPしか入れない部屋なんだぜ?」
得意げに言う男の言葉通り、さっきの部屋よりも質は良かった。
調度品は高級だし、床はペルシャ絨毯(じゅうたん)が使われている。
周りの客が使っているグラスや皿もブランド品だ。
ついでに言えば、この部屋にいる客達は、伊織がリストアップしていたメンツばかり。
(親の金で事件をもみ消してる常連ばっかじゃねぇーか・・・)
質にとは真逆の人間の質の悪さに呆れていれば、俺を連れて着た男が変な声で語り掛ける。
「俺、黒木って言うだ。ねぇ、名前は?」
「さっきの子を連れて来たら、教えてあげる。」
凛を連れて行かれ、イライラが止まらない。
可愛い弟を要求すれば、気持ちの悪い声で聞いてくる。
「なに?可愛い系が好きなの?」
「ショタコンだからね。」
「ぶっ!?マジで~!?もったいないなぁー」
そう言いながら、俺の腰をなでる馬鹿を殴りたくて仕方ない。
「この町に、お前ほどの女がいることを知らなかった自分が情けないぜ。」
「いいから、5番の子を連れてきて。」
「連れて来たら、俺のお願い聞いてくれる。」
「いいわよ。」
「おい!5番のガキ連れて来い!」
黒木が命じれば、黒服ではない男が動く。
(雇ってる店員じゃなく、直属の部下か・・・)
「マジ可愛い~ねぇ、何飲む?酒?それともジュース?甘いカクテルもあるけど?」
「5番が来るまで飲まない。」
ベタベタする馬鹿をあしらいながら、可愛い凛の到着を待った。
〔★敵のLOVEアプローチ、瑞希には通じない★〕


