彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「蓮君!」

「なずなちゃん!?」



そこには、彼女を含めた数人の男女達がいた。



「ここで大人しくしてろ!」



偉そうに言うと、店員は行ってしまった。



(なにここ?何する気なの??)



「蓮君も・・・ここに来ちゃったの?」

「え?どういうことです?」

「蓮君は・・・あと1カ月は大丈夫だと思ったのに・・・」

「あの、何の話ですか??」

「私達・・・ここにいるみんな、今夜売られちゃうの・・・」

「あ。」



そういえば、つなぐがそんなこと言ってたわね。



(最初は、売り子としてお客とらされて働かされて、宣伝できたら売り飛ばされると・・・)



回想する私の側で、なずなちゃんが力なく言う。



「もうダメだよ・・・。二度と、お姉ちゃんにもお母さんにもお父さんにも会えないんだ・・・」

「落ち着いて。逃げれば大丈夫です。」

「逃げれないよ!私の体は・・・薬がないとダメなの・・・」

「そう思いこんでるだけですよ。」

「さっき、そう言われたもん!逃げても家族に迷惑かけちゃうよ・・・!」

「逃げないように脅してるんですよ。」

「だめなの!」

「諦めないで!」



はげます意味で抱きしめる。



「怖いよぉ・・・家出なんかしなきゃよかったよぉ・・・帰りたいよぉ・・・」

「帰れるから、大丈夫ですよ・・・」



強く抱き付かれ、どれだけ不安なのか知る。



「みんなも、大丈夫ですからね?今だけ、今だけ我慢してください・・・!」



前向き発言をするが、取引を前にみんなの表情は暗い。

元気を取り戻してくれるか心配。

心配と言えば・・・



(ミクお姉さんになった瑞希お兄ちゃんは、大丈夫かな・・・?)



ただでさえ、女性に間違えられる美貌。

完全女性装備で変身したら、大の男もイチコロでしょうよ。

現に、MESSIAHのボスをノックアウトしたみたいだし・・・



(よりによって、敵の総大将に惚れられるってどうなんだろう・・・?)



離れ離れになった瑞希お兄ちゃんのことを思うと、気が気ではなかった。