「蓮君!」
「なずなちゃん!?」
そこには、彼女を含めた数人の男女達がいた。
「ここで大人しくしてろ!」
偉そうに言うと、店員は行ってしまった。
(なにここ?何する気なの??)
「蓮君も・・・ここに来ちゃったの?」
「え?どういうことです?」
「蓮君は・・・あと1カ月は大丈夫だと思ったのに・・・」
「あの、何の話ですか??」
「私達・・・ここにいるみんな、今夜売られちゃうの・・・」
「あ。」
そういえば、つなぐがそんなこと言ってたわね。
(最初は、売り子としてお客とらされて働かされて、宣伝できたら売り飛ばされると・・・)
回想する私の側で、なずなちゃんが力なく言う。
「もうダメだよ・・・。二度と、お姉ちゃんにもお母さんにもお父さんにも会えないんだ・・・」
「落ち着いて。逃げれば大丈夫です。」
「逃げれないよ!私の体は・・・薬がないとダメなの・・・」
「そう思いこんでるだけですよ。」
「さっき、そう言われたもん!逃げても家族に迷惑かけちゃうよ・・・!」
「逃げないように脅してるんですよ。」
「だめなの!」
「諦めないで!」
はげます意味で抱きしめる。
「怖いよぉ・・・家出なんかしなきゃよかったよぉ・・・帰りたいよぉ・・・」
「帰れるから、大丈夫ですよ・・・」
強く抱き付かれ、どれだけ不安なのか知る。
「みんなも、大丈夫ですからね?今だけ、今だけ我慢してください・・・!」
前向き発言をするが、取引を前にみんなの表情は暗い。
元気を取り戻してくれるか心配。
心配と言えば・・・
(ミクお姉さんになった瑞希お兄ちゃんは、大丈夫かな・・・?)
ただでさえ、女性に間違えられる美貌。
完全女性装備で変身したら、大の男もイチコロでしょうよ。
現に、MESSIAHのボスをノックアウトしたみたいだし・・・
(よりによって、敵の総大将に惚れられるってどうなんだろう・・・?)
離れ離れになった瑞希お兄ちゃんのことを思うと、気が気ではなかった。


