彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「5番君、退席させてもらいますね。」



そう言うなり、私の手をつかむ店員。



「ちょ・・・ちょっと待ってよ!」



それを見て、私より先に瑞希お兄ちゃんが正気に戻る。



「お金なら払うから!延長料金払います。だから、その子を―――――――」

「やめて、俺と話さない?」



そんなことを言いながら、瑞希お兄ちゃんの肩を抱いたのは・・・



「「あ。」」



ロン毛のチャラオ。




(黒木!?)




似顔絵で見た、MESSIAHの頭だった。

奴は瑞希お兄ちゃんを見つめたまま、にっっこりと笑う。



「こんばんは。ちょっとさ、俺の席で飲もうよ?」

「はあ!?私は、その子とー」

「ごめんね。あの子は、ショーに出す子なんだ。ほら、連れて行け!」

「はい、オーナー。」



そう言うなり、私達を引き離すMESSIAHの頭。



どういうこと!?



(バレたの!?)



そんな思いで、瑞希お兄ちゃんと目配せしたのだが・・・



「おいおい、見つめ合っちゃって焼けるなぁ~彼女?俺のことも、その目で見てほしいな?」

「はぁ!?」

「見かけた時から、ずっと気になってたんだ~」

「「な・・・!?」」



ナンパ!?



(ナンパされてるの!?女装お兄ちゃん!?)



〔★口説かれている★〕



何が起きたか理解した時、瑞希お兄ちゃんは黒木の席へ、私は部屋から連れ出される。

終了報告をしてきた店員、私を引きずりながら苦々しく言い放つ。



「最後に良い思いできたな、小僧?あんな美人と!」

「ど、どこへ連れて行くんですか?」

「うるせぇーよ。」



再び乗せられたエレベーターが上昇する。

すぐに降りることが出来たけど、そのまま関係者専用の部屋に叩きこまれた。