びっくりして固まっていれば、瑞希お兄ちゃんが私の耳元で小さくささやく。
「演技、できるわね・・・?」
「・・・・・・・御意。」
恥ずかしさと、会話を聞かれたくないのとで、瑞希お姉さんに抱き付く。
「もっとベタベタしなさい。」
「え?でも・・・」
「おっぱい・・・は、もまれると困るから、腰のあたりをなでてね?」
「そうですね・・・・」
ニセおっぱいを触るのはまずいよね。
言われた通り、腰を触りながら小声で聞いた。
「なんでここにいるんですか?」
「こっちのセリフだよ、バカ・・・!なんでいるの?」
「い、いろいろありまして・・・」
「家出娘を探してたんでしょう?お兄ちゃんにダメって言われてなかったの?」
「す・・・すみません!成り行きで・・・」
(・・・ばれちゃったか。)
誤魔化してみるけど、冷たい視線は変わらない。
見つめられるとドキドキしてしまう。
ミクさんを相手に、どう立ち振る舞うか・・・
(それによって、瑞希お兄ちゃんの私への好感度も変わってくるからな・・・。)
そう考えていたら、私の耳元に瑞希お兄ちゃんが唇を寄せる。
「ねぇ、この間、一緒にいた人は誰?」
「え?」
「私に水浴びしてくれて奴よ。ホームレスみたいだったけど?」
「ホームレスですよ?」
「はあ?」
「あれは丸山さんと言いまして、パトロールで知り合った方です。」
「お前・・・!」
(凛のやつ、マジでホームレスの知り合いまでいるのか・・・!?)
〔★瑞希は頭痛を覚えた★〕
私の話を聞き、みけんにしわを寄せて黙り込む瑞希お兄ちゃん。
(どうしたんだろう・・・?は!?まさか!?水かけられたことを怒ってる!?)
そうだよ!絶対そうだよ!謝らなきゃ!
「ご、ごごごごめんなさい、ミクお姉さん!水をかけてごめんなさい!悪気はなかったんです!申し訳ありませんでした!」
「は!?ちょ、静かにしなさい!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
「いいから!気にしてないから!いいってば!」
(本当は良くねぇーけど。)
凛を抱き込みながらなだめる。
目だけで周囲を見渡せば、こちらをのぞいてる奴らはもういなかった。


