彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




びっくりして固まっていれば、瑞希お兄ちゃんが私の耳元で小さくささやく。



「演技、できるわね・・・?」

「・・・・・・・御意。」



恥ずかしさと、会話を聞かれたくないのとで、瑞希お姉さんに抱き付く。



「もっとベタベタしなさい。」

「え?でも・・・」

「おっぱい・・・は、もまれると困るから、腰のあたりをなでてね?」

「そうですね・・・・」



ニセおっぱいを触るのはまずいよね。

言われた通り、腰を触りながら小声で聞いた。



「なんでここにいるんですか?」

「こっちのセリフだよ、バカ・・・!なんでいるの?」

「い、いろいろありまして・・・」

「家出娘を探してたんでしょう?お兄ちゃんにダメって言われてなかったの?」

「す・・・すみません!成り行きで・・・」



(・・・ばれちゃったか。)



誤魔化してみるけど、冷たい視線は変わらない。

見つめられるとドキドキしてしまう。



ミクさんを相手に、どう立ち振る舞うか・・・



(それによって、瑞希お兄ちゃんの私への好感度も変わってくるからな・・・。)



そう考えていたら、私の耳元に瑞希お兄ちゃんが唇を寄せる。



「ねぇ、この間、一緒にいた人は誰?」

「え?」

「私に水浴びしてくれて奴よ。ホームレスみたいだったけど?」

「ホームレスですよ?」

「はあ?」

「あれは丸山さんと言いまして、パトロールで知り合った方です。」

「お前・・・!」



(凛のやつ、マジでホームレスの知り合いまでいるのか・・・!?)



〔★瑞希は頭痛を覚えた★〕



私の話を聞き、みけんにしわを寄せて黙り込む瑞希お兄ちゃん。



(どうしたんだろう・・・?は!?まさか!?水かけられたことを怒ってる!?)



そうだよ!絶対そうだよ!謝らなきゃ!



「ご、ごごごごめんなさい、ミクお姉さん!水をかけてごめんなさい!悪気はなかったんです!申し訳ありませんでした!」

「は!?ちょ、静かにしなさい!」

「ごめんなさい、ごめんなさい!」

「いいから!気にしてないから!いいってば!」

(本当は良くねぇーけど。)



凛を抱き込みながらなだめる。

目だけで周囲を見渡せば、こちらをのぞいてる奴らはもういなかった。