彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




ぽつぽつと、自分のことを話す家出っ子達の話を静かに聞く。

みんな、我慢していたものを吐き出すように話す。

そんな彼女達の話を、1人ずつ順番に聞いた。

ツラかっただろうと思いながら、頭を撫でれば、みんな涙ぐんだ。



「話してくれて、ありがとう。」

「・・・そんな・・・」

「私こそ・・・!」

「・・・聞いてくれてありがとう。」

「楽になれた・・・」

「つらかった・・・」



気づけば、私にしがみついていた子が離れていた。

泣いている他の少女を慰めていた。

見れば、みんなが互いの頭や背中を撫でていた。

手をにぎって、いたわり合っている。

なぐさめ合っていた。



「ありがとう、蓮君・・・こんなの初めてだよ。」

「なずなちゃん。」

「私、私達・・・頑張れそうな気がする・・・」

「・・・頑張らなくていいんです。もう、十分頑張ってきたんだから。」


(あとは、私が引き受ける。絶対に、全員助けよう・・・)



そう心に誓った時だった。



「5番!!指名が入ったよ!」



そう言って、知らない男の大人が入ってきた。

服装からして、お店の店員らしかった。



「指名だぞ、坊主。」



それで、なずなちゃん達の動きが止まる。

引きつった顔で私を見つめる家出っ子達。



「え?指名って、僕?」

「仕事だよ。早く来い!」

「わかりました。」

「蓮君・・・」



同意して立ち上がる私を、不安そうに見るなずなちゃん達。



「大丈夫ですよ。」



彼女達を安心させるために言った。



「僕が戻ったら、好きな動物の話でもしましょう。いや、それよりも芸能人が良いかな?帰ってくるまで、テーマを考えていて下さいね?」

「蓮君。」

「約束ですよ?」



そう伝えて笑顔で手をふる。



「気をつけてね・・・」

「ありがとう、なずなちゃん。」

「さっさと来いって!」



そんな私を乱暴に店員が引っ張る。

大部屋から連れ出された。

部屋を出れば、私を連れてきた金髪男が立っていた。