ぽつぽつと、自分のことを話す家出っ子達の話を静かに聞く。
みんな、我慢していたものを吐き出すように話す。
そんな彼女達の話を、1人ずつ順番に聞いた。
ツラかっただろうと思いながら、頭を撫でれば、みんな涙ぐんだ。
「話してくれて、ありがとう。」
「・・・そんな・・・」
「私こそ・・・!」
「・・・聞いてくれてありがとう。」
「楽になれた・・・」
「つらかった・・・」
気づけば、私にしがみついていた子が離れていた。
泣いている他の少女を慰めていた。
見れば、みんなが互いの頭や背中を撫でていた。
手をにぎって、いたわり合っている。
なぐさめ合っていた。
「ありがとう、蓮君・・・こんなの初めてだよ。」
「なずなちゃん。」
「私、私達・・・頑張れそうな気がする・・・」
「・・・頑張らなくていいんです。もう、十分頑張ってきたんだから。」
(あとは、私が引き受ける。絶対に、全員助けよう・・・)
そう心に誓った時だった。
「5番!!指名が入ったよ!」
そう言って、知らない男の大人が入ってきた。
服装からして、お店の店員らしかった。
「指名だぞ、坊主。」
それで、なずなちゃん達の動きが止まる。
引きつった顔で私を見つめる家出っ子達。
「え?指名って、僕?」
「仕事だよ。早く来い!」
「わかりました。」
「蓮君・・・」
同意して立ち上がる私を、不安そうに見るなずなちゃん達。
「大丈夫ですよ。」
彼女達を安心させるために言った。
「僕が戻ったら、好きな動物の話でもしましょう。いや、それよりも芸能人が良いかな?帰ってくるまで、テーマを考えていて下さいね?」
「蓮君。」
「約束ですよ?」
そう伝えて笑顔で手をふる。
「気をつけてね・・・」
「ありがとう、なずなちゃん。」
「さっさと来いって!」
そんな私を乱暴に店員が引っ張る。
大部屋から連れ出された。
部屋を出れば、私を連れてきた金髪男が立っていた。


