「大丈夫?」
心配そうになずなちゃんや他の子達が寄ってくる。
「平気ですよ。情緒不安定なら、落ち着くまで開いてします。」
「蓮君、優しいんだね・・・」
「うん・・・うちのお母さんも、そうだったらよかった。」
「そうなんですか?」
ポニーテールの女子の言葉を聞き返せば、体育座りの足を伸ばしながら言った。
「そうよ。お父さん、彼女にばっかり優しいんだもん。あたしに優しいのは、女と別れた後だけ。」
「うちのババアなんか、跡取り息子じゃないからって文句言うし!母さんの悪口ばっか言って最低!母さんは言い返さないし、父さんもじいちゃんも空気で、ムカつく!母さん庇ったら、生意気だからって追いだしやがった・・・!」
「俺は、継母さえいなけりゃ幸せだった。親父の女を見る目は最低だ。腹違いの妹ばっかり可愛がる。養育費欲しさに、俺を引き取ったクズ男だ。」
「そういう話聞くと、家族がいない俺はラッキーなのかもしれないな。結構夢見てたんだけどな・・・」
「家族がいても、受験に失敗したら人間以下よ?お姉ちゃんは出来るのに、何で出来ないのかって比べられて・・・人格否定だよ。」
1人の言葉を皮切りに、自分達のことを話し始める家出っ子達。
だから、聞かずにはいられなかった。
「みなさん・・・そういいった理由で家出した結果、ここに流れ着いたんですか?」
「そうだね。」
なずなちゃんが答えれば、誰ともなく互いの顔を見る少年少女達。
私が聞いたことにより、彼らはなぜ家出してきたのか教えてくれた。


