関わりたくないけど、無視は出来ない。
(ということは、上手にかわすしかないか・・・。)
「やめてくれません?」
「はあ?聞こえないんだけど?」
「だから・・・・・どうせなら手をにぎってよ。」
穏便にしたかったので、反対の手でちあきという女の手をにぎる。
それに相手は目を丸くするが・・・
「馬鹿じゃねぇの!?」
怒鳴るだけで振りほどかなかった。
それどころか、にぎり返してくれる。
腕を掴んでくれた手も離してくれた。
「おやおや、ちあき~惚れたか?」
「ち、違うから!」
冷やかす金髪男に怒鳴る監視役の女子。
その隙に私は動いた。
「なずなちゃん。」
「え?」
彼女の方に手を伸ばして、その手をつないだ。
最悪の場合は、真っ先に連れて逃げれるように。
「お前!なずなの手もにぎるのか!?」
そんな私達を見て監視役の子が文句を言ったが・・・
「だって、逃げたら困るんでしょう?」
言われたことを言い返す。
言葉に詰まる監視役の女子。
「く・・・この屁理屈野郎!」
「痛っ!?」
足を蹴られたけど無視した。
二組別れて、エレベーターで降りる。
再び駐車場へと戻った。
「ノロノロするな。乗れ!」
(乱暴ね・・・)
車に乗ったら、先客がいた。
数人の男女。
(うわ・・・まだいたんだ。)
目があった時、みんなジッと私を見つめる。
それは運転手も同じで、私をスカウトした金髪に話しかける。
「そのマスクちゃん、メス?」
「いや、オス。」
「マジ?メンヘラ系?」
「かもな。それより売り上げは?」
「朱里が稼いだ。客足もよかったぜ?」
そんな会話を、一番後ろの席で聞いた。
車の窓から目だけで外を確認する。
マンションの入り口付近の電柱に人影を見る。
(よかった・・・)
ちゃんといた。
この場所は、丸山さん達ホームレス部隊が教えてくれたMESSIAHの連中が使うマンション。
そのすべてに張り込んでもらった。
ここもその一つだった。
(女の子達を車に乗せるシーン、デジカメにうまく収めてくれてればいいけど・・・)
どうせ、ビデオも回してるからいいけどね・・・
〔★準備万端だ★〕


