彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




関わりたくないけど、無視は出来ない。



(ということは、上手にかわすしかないか・・・。)



「やめてくれません?」

「はあ?聞こえないんだけど?」

「だから・・・・・どうせなら手をにぎってよ。」



穏便にしたかったので、反対の手でちあきという女の手をにぎる。

それに相手は目を丸くするが・・・



「馬鹿じゃねぇの!?」



怒鳴るだけで振りほどかなかった。

それどころか、にぎり返してくれる。

腕を掴んでくれた手も離してくれた。



「おやおや、ちあき~惚れたか?」

「ち、違うから!」



冷やかす金髪男に怒鳴る監視役の女子。

その隙に私は動いた。



「なずなちゃん。」

「え?」



彼女の方に手を伸ばして、その手をつないだ。

最悪の場合は、真っ先に連れて逃げれるように。



「お前!なずなの手もにぎるのか!?」



そんな私達を見て監視役の子が文句を言ったが・・・



「だって、逃げたら困るんでしょう?」



言われたことを言い返す。

言葉に詰まる監視役の女子。



「く・・・この屁理屈野郎!」

「痛っ!?」



足を蹴られたけど無視した。

二組別れて、エレベーターで降りる。

再び駐車場へと戻った。



「ノロノロするな。乗れ!」

(乱暴ね・・・)



車に乗ったら、先客がいた。

数人の男女。



(うわ・・・まだいたんだ。)



目があった時、みんなジッと私を見つめる。

それは運転手も同じで、私をスカウトした金髪に話しかける。



「そのマスクちゃん、メス?」

「いや、オス。」

「マジ?メンヘラ系?」

「かもな。それより売り上げは?」

「朱里が稼いだ。客足もよかったぜ?」



そんな会話を、一番後ろの席で聞いた。

車の窓から目だけで外を確認する。

マンションの入り口付近の電柱に人影を見る。



(よかった・・・)



ちゃんといた。

この場所は、丸山さん達ホームレス部隊が教えてくれたMESSIAHの連中が使うマンション。

そのすべてに張り込んでもらった。

ここもその一つだった。



(女の子達を車に乗せるシーン、デジカメにうまく収めてくれてればいいけど・・・)



どうせ、ビデオも回してるからいいけどね・・・



〔★準備万端だ★〕