「怖いんだよ・・・帰りたいけど、怖いのよ・・・」
「帰らない方が怖いですよ。だから帰りましょう?」
「私だけ帰るなんて、できないよ・・・!ちあきさんと違って、簡単に部屋から出れない。こうやって、部屋に閉じ込められてるし、他の子もいるし、しきってるのはヤバい半グレだから・・・逃げたりしたら、後でどんな仕返しされるか・・・!」
「大丈夫です。ここにいる子はみんな助けます。半グレに手出しもさせません。」
「だけど、お客を取りに行かされてる子もいるのよ!?」
「そちらも大丈夫です。」
下調べの段階で、それはわかっていた。
今回の作戦では、全員助けることになってる。
「もう怖がらなくていいです。必ず、君を、君達を、僕がみんな助けますから。」
「みんなも助けられるって・・・あなたは一体・・・?」
「おーい、お前ら出ろ!」
さっきとは違う、くわえタバコの男が扉を開ける。
気絶させた子を残して立ち上がる。
「なに寝てんだ、こいつ?」
「そいつ、薬が抜けたんだよ。」
そう言ったのは監視役の女の子。
「薬?ああ・・・こいつか~」
それに男が、だるそうに言う。
「さばくための薬を、自分で使いやがったガキか。」
「塾で薬バラまけって言ったのに、返品された薬飲んで逃げようとしたんだろう?」
返品されたって・・・!?
(私が返した分、飲んじゃったの・・・!?)
「そいつ、置いて行くの?」
「こんなんでも指名入ってんだよ。客が待つホテルまで送るわ。」
(こんな状態なのに、いやらしいことさせるの!?)
気にはなったけど、こいつらの行動は把握できてる。
客を待つというホテルの場所も・・・
だから、心の中で坂口さんに謝りつつも、彼女と男を残して部屋を出た。
(ごめんね、坂口さん。必ず助けるから・・・!)
背後を気にしていたら腕をつかまれる。
ガシ!
「え?」
「逃げるなよ。」
監視役の女子だった。


