彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「怖いんだよ・・・帰りたいけど、怖いのよ・・・」

「帰らない方が怖いですよ。だから帰りましょう?」

「私だけ帰るなんて、できないよ・・・!ちあきさんと違って、簡単に部屋から出れない。こうやって、部屋に閉じ込められてるし、他の子もいるし、しきってるのはヤバい半グレだから・・・逃げたりしたら、後でどんな仕返しされるか・・・!」

「大丈夫です。ここにいる子はみんな助けます。半グレに手出しもさせません。」

「だけど、お客を取りに行かされてる子もいるのよ!?」

「そちらも大丈夫です。」



下調べの段階で、それはわかっていた。

今回の作戦では、全員助けることになってる。



「もう怖がらなくていいです。必ず、君を、君達を、僕がみんな助けますから。」

「みんなも助けられるって・・・あなたは一体・・・?」

「おーい、お前ら出ろ!」



さっきとは違う、くわえタバコの男が扉を開ける。

気絶させた子を残して立ち上がる。



「なに寝てんだ、こいつ?」

「そいつ、薬が抜けたんだよ。」



そう言ったのは監視役の女の子。



「薬?ああ・・・こいつか~」



それに男が、だるそうに言う。



「さばくための薬を、自分で使いやがったガキか。」

「塾で薬バラまけって言ったのに、返品された薬飲んで逃げようとしたんだろう?」



返品されたって・・・!?

(私が返した分、飲んじゃったの・・・!?)



「そいつ、置いて行くの?」

「こんなんでも指名入ってんだよ。客が待つホテルまで送るわ。」



(こんな状態なのに、いやらしいことさせるの!?)



気にはなったけど、こいつらの行動は把握できてる。


客を待つというホテルの場所も・・・


だから、心の中で坂口さんに謝りつつも、彼女と男を残して部屋を出た。



(ごめんね、坂口さん。必ず助けるから・・・!)



背後を気にしていたら腕をつかまれる。



ガシ!

「え?」

「逃げるなよ。」



監視役の女子だった。