彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「春野なずなさん、お姉さんのみさきさんが君を探してます。」

「お姉ちゃんが私を!?」

「はい。」



なずなちゃんを部屋の隅へと誘導しながら言った。



「こちらに来て、大原さんやその仲間達と君をずっと探しています。僕も頼まれたんです。」

「うそ・・・!?」

「みさきさん、すごく心配してますよ。他のご家族も・・・」

「お姉ちゃん・・・こっちに来てるの・・・!?」



私の言葉になずなちゃんの表情が明るくなる。



「来てますよ。毎日、毎晩・・・この2週間、探し続けてるんですよ。」

「あたしのために、お姉ちゃんが・・・!」



そう言った彼女の目元が潤む。



「会いたい・・・お姉ちゃんに、会いたいよぉ・・・!」

「それはお姉さんも同じです。だから、一緒に帰りましょう。」

「っ!・・・・無理だよ・・!」



そう誘えば、途端に表情を険しくさせるなずなちゃん。



「なぜです?帰りたくないんですか?」

「帰れないよ!私・・・売春しちゃったんだよ!?会わす顔ないよ・・・」



思わぬ返事に言葉が詰まる。



「学校も家もつまんなくて、こっちに来たけど・・・自分がどれだけ幸せだったか、今になってわかった・・・。なんで家出なんかしたんだろう・・・」

「・・・そう思ってるなら、なおさら帰りましょう?」

「だから帰れないって!帰りたいけど・・・帰れない・・・こんな私が帰っても、お姉ちゃん達だって困るよ・・・」

「違います。お姉さんが、ご家族が望んでいるのは、なずなちゃんが無事に帰ってくることです。帰ってこない方が困りますよ。」

「きれいごとだよ!絶対に怒られる・・・」

「怒るでしょうね。大好きだからこそ、怒るんですから。」

「え?」

「大事だからこそ、怒る。違いますか?」

「・・・うっ・・・」



私の問いかけに、口元を抑える。

目から涙がこぼれる。