彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「お前ら、うるせぇぞ!ちあき、今度はなにで騒いでる!?」



ドアが開き、私を連れてきた男が顔を出す。

途端に、ちあきは甘ったるい声で言った。



「たむちゃーん、この新入り怪しいよぉ!なずなの知り合いだっていうんだ!」

「なに?」



まずい。

(嗅ぎまわられては厄介ね・・・!)



そう思ったので、間を置かずに即答した。



「そうです。なずなさんとは、家出ネットワークで知り合いました。」

「なんだ、そりゃ?」

「神待ちサイトの1つです。ご存じですよね?」

「知るかよ!」



私の問いに面倒くさそうに男は言う。



「とにかく騒ぐな!」

「ちょっと!こいつを調べないのかよ!?なずなを連れ戻しに来たのかもしれないじゃん!?」

「そうだとしても、そのチビガキに何ができるんだよ?つーか、お前こそ、そのガキいじめてんじゃねぇぞ!商品に傷つけるなよ、ちあき!」

「なんだよそれ!?」

「キレるなよ。それより、ちょっと来いよ。あれやるからさ。」

「マジで!?行く行く!」



男の言葉で、機嫌を直すちあきという子。

私から手を離すと、部屋から出て行ってしまった。



「・・・なんなんですか?」

(やけに、MESSIAHに対して協力的ね・・・)



あっさりと部屋から出れたことにも気になった。

そんな私になずなちゃんが言う。



「あの子、見張り役なのよ。」

「見張り役?」

「元々は、自分で売春グループを作って客を集めてたんだけど・・・それを黒木さんがスカウトしたの。」

「自分でって・・・あの子も未成年じゃないですか!?」

「そうだよ。彼女は、自分の意志で自分を売ってたの。それに抵抗がないんじゃない?」

「君は違うよね?」

「え?」



監視役がいなくなったので聞いた。