彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「本当にやめてください!だめですよ!やめてく・・・」

「ああああああああ!くすり!くすりぃー!ああああ!!」

「ちょ・・・」

「あぐううう、あああ!」



(言葉が通じない!?)



そうとしか思えない反応。



「言っても無駄だよ!」



そう言いながら、私と一緒に坂口さんを抑えてくれるなずなちゃん。



「もう言葉が通じなくなってるから!力で抑えなきゃ、この子も私達も怪我しちゃうから!」

(そんな・・・)



それで本当にダメなんだと思う。

会話ができないのだと・・・。



「くるしい!あああ!たすけて!くすり・・・たすけて!」



そう訴える坂口さんが哀れになる。



「うるせぇ!早く黙らせろ!」



ドアを蹴り飛ばされる。

外からの苦情に、他の女の子達がおびえる。



(このままじゃ、全員がパニックを起こす・・・)



なによりも、坂口さんの苦しむ姿をこれ以上は見ていられなかった。

被害を大きくしないためにも動いた。



「ごめん!」



一言詫びてから、暴れる彼女の急所に拳を叩き込んだ。



ドス!

「うっ!?」



それで坂口さんの動きは止まった。

糸が切れた操り人形のように、その体が崩れ落ちた。



「な、なにしたの!?」

「気絶させました。」



驚くなずなちゃんの問いに、静かに答えた。



「力で抑えなきゃ、みんな、怪我するんですよね?」

「あ・・・そう、だね・・・」



それで部屋の中は静かになる。



「やっと静かになったのかよ!?」

「もう騒ぐなよ!」



扉が蹴られる音に続き、男達の下品な声が響く。

それを不快に感じながら、意識を失った坂口さんを静かに寝かせる。