「な、何で、私の名前を・・・?」
「あ、君がなずなちゃん?」
画像と同じ顔の女の子だった。
実物はかなり痩せてるけど間違いなかった。
そのまま、会話を続けようとしたのだけど・・・
「うあああああああ!」
突然あがった叫び声で中断された。
女の子の1人が立ち上がり、奇声を上げて叫び出したのだが・・・
「え?」
(坂口さん!?)
声の主は、行方不明になっている塾の子だった。
面影は残っているが、別人のようにやつれていた。
「ど、どうしたんですか!?」
「薬が切れたんだよ!」
私の問いになずなちゃんが答える。
「その子、ドラッグ中毒で・・・」
「ええ!?」
「ああああああああああああ!!」
奇声を発し、手足をばたつかせれる坂口さん。
(これが、あの彼女なの・・・!?)
気は強いけど、礼儀正しかった同級生を知るだけに、あまりの変貌ぶりに戸惑う。
「あひひひ!ひひひひ!」
そうしているうちに、坂口さんは頭を壁にぶつけ始める。
「あ・・・やめなさい!」
坂口さんに近づくことに抵抗はあった。
正体がばれないかと気になったけど、そうも言ってられない。
(このままじゃ、怪我だらけになっちゃう!)
「やめてください!」
冷や冷やしながら体を抑えるが、それは杞憂だと知る。
「ひー!ひー!あひひひひ!」
(え!?)
目があったのに、彼女の態度は変わらなかった。
「サプリ・・・ちょうだい!ちょうだい!くーすーりー!」
頭を前後左右に振り続けるばかりだった。
(私に気づいてない?)
ホッとしたのもつかの間。
ガンガンガン!
「ちょっと!?」
(壁や床に体中を打ち付ける自傷行為は良くない!)
私を見ることなく、私の手から逃れるように暴れる坂口さん。
「やめてください!落ち着いてください!」
「あああああああ!」
説得しながら、何とか押さえつける。


