彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




部屋に入ってから気づく。



(薬品のにおい?)



マスクをしていてもわかる異臭。

例えるなら、科学の授業で使う薬品に近いニオイだった。



「おーい、新入りだぜ!」

「あ・・・」



リビングに、3人の男がいた。

いっせいに、私を見る目が・・・値踏みしているようで嫌だった。



「小さいな、おい?」

「風邪でしゃべれないらしい。」

「病気もちかよ!うつすなよ!」

「けど、なかなかの美少年だぜ?」

「男なのか?不足中だからいいけど・・・」



そんなやり取りだった。



「あっちの部屋だ。来い!」



強く引っ張られるが、あえて抵抗しないでなすがままになる。



「今日から、ここがお前のお家だよ!」



そう言いってのは、施錠された部屋。

カギを開けると、中に私を押し込んだ。



「おい!新入りだぞ!」

「あ・・・!」

(ビンゴ!)



そう言われて紹介された部屋の中に彼女達がいた。



「お前ら!ガキの面倒見ろよ!」



派手な子から地味な子まで、見た目は様々だが10代の女の子がたくさんいた。



(・・・7人もいる。)



「ジジイばっか相手だからって、この坊やに手を出すなよ!」



そう言って金髪は部屋から出て行った。

同時に、鍵をかけられた。



(うわー・・・)



わかりやすい監禁スタイル。



「あんたも家出?」

「え?」



化粧の厚い子が聞いてきた。



「いえ、僕は・・・」

「肌きれいじゃん?ホモの親父に掘られるね?きゃはははは!」



(なにこの子・・・嫌な感じ。)



他の子達に目をやれば、気まずそうにしていたり、うつむいたままだったりする。

全体的に元気がない。

失礼な女子の笑い声がやんだところで切り出した。



「あのー・・・この中に、春野なずなちゃんっていますか?」

「え!?」



それで、うつむいていた女の子が顔を上げる。

目を見開き、私を見ながらつぶやく。