部屋に入ってから気づく。
(薬品のにおい?)
マスクをしていてもわかる異臭。
例えるなら、科学の授業で使う薬品に近いニオイだった。
「おーい、新入りだぜ!」
「あ・・・」
リビングに、3人の男がいた。
いっせいに、私を見る目が・・・値踏みしているようで嫌だった。
「小さいな、おい?」
「風邪でしゃべれないらしい。」
「病気もちかよ!うつすなよ!」
「けど、なかなかの美少年だぜ?」
「男なのか?不足中だからいいけど・・・」
そんなやり取りだった。
「あっちの部屋だ。来い!」
強く引っ張られるが、あえて抵抗しないでなすがままになる。
「今日から、ここがお前のお家だよ!」
そう言いってのは、施錠された部屋。
カギを開けると、中に私を押し込んだ。
「おい!新入りだぞ!」
「あ・・・!」
(ビンゴ!)
そう言われて紹介された部屋の中に彼女達がいた。
「お前ら!ガキの面倒見ろよ!」
派手な子から地味な子まで、見た目は様々だが10代の女の子がたくさんいた。
(・・・7人もいる。)
「ジジイばっか相手だからって、この坊やに手を出すなよ!」
そう言って金髪は部屋から出て行った。
同時に、鍵をかけられた。
(うわー・・・)
わかりやすい監禁スタイル。
「あんたも家出?」
「え?」
化粧の厚い子が聞いてきた。
「いえ、僕は・・・」
「肌きれいじゃん?ホモの親父に掘られるね?きゃはははは!」
(なにこの子・・・嫌な感じ。)
他の子達に目をやれば、気まずそうにしていたり、うつむいたままだったりする。
全体的に元気がない。
失礼な女子の笑い声がやんだところで切り出した。
「あのー・・・この中に、春野なずなちゃんっていますか?」
「え!?」
それで、うつむいていた女の子が顔を上げる。
目を見開き、私を見ながらつぶやく。


