彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「いくつ?」



苗字を言わなかったことにツッコまれなかったので、ホッとしながら会話を続ける。



「15歳、高校生。」

「あはははは!誤魔化さなくていいって!中坊だろう?」



(この野郎・・・)



決めつける相手に、カチンときたが無視する。

それで相手は都合の良いように判断したらしい。



「今夜はうちに泊まれよ。君みたいなやつがいるからさ。」

「そういう子を、集めてるの?」

「あ?」



一瞬だが、相手の目つきがかわる。

一般人ではない、半グレの目。

それだけで十分だったので言った。



「まるでポケモンみたいだね?」



ニッコリと笑顔で言えば、相手も元の顔つきに戻る。



「あはははは!蓮は、ポケモンが好きなの?ポケモンGOがあるけどする?」



うなずけば、馴れ馴れしく頭をなでられた。



「俺の家、すぐ近くだからさ~」



ムカついたけど、会話をやめるわけにはいかない。



「充電できますか?」

「充電?」

「携帯の電池なくなって・・・今朝から使えないの。」



子供っぽい口調で真っ暗な画面のスマホを見せる。



「それ、電池切れちゃったのか?」

「うん。使えないの・・・」

「いいよ・・・充電もさせてあげるからもっておきなよ。」



そう言って笑う顔は悪かった。



(没収されなくてよかった・・・)



自己申告してよかった。



(まさかこれが、電源切ってるだけの携帯だとは思うまい。)



〔★手の込んだ作戦だ★〕



男はたわいない話で私に話しかける。

会話は楽しいけど、口がかなり上手いんだと思った。

男の言う通り、移動に時間はかからなかった。

ついたのは高級マンション。



(ここか・・・)



エレベーターで部屋まで移動し、一番上の階で止まる。

にぎられている手の力が強くなった時、表札のない部屋の前にいた。



「入れよ。」



明らかに相手の口調が変わってる。

気づいてない振りをして室内に入る。