「いくつ?」
苗字を言わなかったことにツッコまれなかったので、ホッとしながら会話を続ける。
「15歳、高校生。」
「あはははは!誤魔化さなくていいって!中坊だろう?」
(この野郎・・・)
決めつける相手に、カチンときたが無視する。
それで相手は都合の良いように判断したらしい。
「今夜はうちに泊まれよ。君みたいなやつがいるからさ。」
「そういう子を、集めてるの?」
「あ?」
一瞬だが、相手の目つきがかわる。
一般人ではない、半グレの目。
それだけで十分だったので言った。
「まるでポケモンみたいだね?」
ニッコリと笑顔で言えば、相手も元の顔つきに戻る。
「あはははは!蓮は、ポケモンが好きなの?ポケモンGOがあるけどする?」
うなずけば、馴れ馴れしく頭をなでられた。
「俺の家、すぐ近くだからさ~」
ムカついたけど、会話をやめるわけにはいかない。
「充電できますか?」
「充電?」
「携帯の電池なくなって・・・今朝から使えないの。」
子供っぽい口調で真っ暗な画面のスマホを見せる。
「それ、電池切れちゃったのか?」
「うん。使えないの・・・」
「いいよ・・・充電もさせてあげるからもっておきなよ。」
そう言って笑う顔は悪かった。
(没収されなくてよかった・・・)
自己申告してよかった。
(まさかこれが、電源切ってるだけの携帯だとは思うまい。)
〔★手の込んだ作戦だ★〕
男はたわいない話で私に話しかける。
会話は楽しいけど、口がかなり上手いんだと思った。
男の言う通り、移動に時間はかからなかった。
ついたのは高級マンション。
(ここか・・・)
エレベーターで部屋まで移動し、一番上の階で止まる。
にぎられている手の力が強くなった時、表札のない部屋の前にいた。
「入れよ。」
明らかに相手の口調が変わってる。
気づいてない振りをして室内に入る。


