「本気でするのか・・・?」
「はい。僕がオトリになって、現場を抑えます。」
「チョコなら、引っ掛かるかもしれないが・・・危ないんだぞ?」
「承知の上です。」
「なんなら、俺が代わりにしてもいいんですよ、ぼっしー?」
「ダメです。」
はいはーい!と、手を上げなら言う忍者に優しく言った。
「つなぐには、別の仕事があるじゃないですか?あなたにしかできないんですよ?」
「そーですけどぉ~」
「心配しなくても、ちゃんと家出っ子の振りをします。」
「わかりました・・・じゃあ、徳さん。」
「はいよ。」
つなぐが呼んだのは、似顔絵を作ってくれたおじさん。
「このままでは家出人らしくないので、メイクさせていただきますね?」
「任せます。」
「じゃあ、坊や、両腕をまくってくれ。」
言われた通り腕まくりをする。
徳さんは持っていた箱を開けて道具を手に取る。
「我が君、バンダナもとって頂けますか?」
「わかってますよ。徳さん以外、向こうを向いていて下さい。」
「御意。」
つなぐの言葉に合わせ、全員が私から顔をそむける。
その様子に安心しながら布を下げる。素顔をさらす。
首が、のど仏が見えないように気を遣う。
「・・・・キレイな顔してるじゃないか?」
道具を手にした徳さんがつぶやく。
「恥ずかしいんで、コメントは控えさせて下さい。」
苦笑いして見せれば、相手もニッコリと笑ってうなずく。
作業を始める。
「俺もぼっしーのお顔が見たいなぁ~?」
「ごめんなさい。」
「もぉ~そう言われると許しちゃうんですよねぇ~」
背後から響く声に謝罪すれば、甘えるような声で笑われた。


