彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「本気でするのか・・・?」

「はい。僕がオトリになって、現場を抑えます。」

「チョコなら、引っ掛かるかもしれないが・・・危ないんだぞ?」

「承知の上です。」

「なんなら、俺が代わりにしてもいいんですよ、ぼっしー?」

「ダメです。」



はいはーい!と、手を上げなら言う忍者に優しく言った。



「つなぐには、別の仕事があるじゃないですか?あなたにしかできないんですよ?」

「そーですけどぉ~」

「心配しなくても、ちゃんと家出っ子の振りをします。」

「わかりました・・・じゃあ、徳さん。」

「はいよ。」



つなぐが呼んだのは、似顔絵を作ってくれたおじさん。

「このままでは家出人らしくないので、メイクさせていただきますね?」

「任せます。」

「じゃあ、坊や、両腕をまくってくれ。」



言われた通り腕まくりをする。

徳さんは持っていた箱を開けて道具を手に取る。



「我が君、バンダナもとって頂けますか?」

「わかってますよ。徳さん以外、向こうを向いていて下さい。」

「御意。」



つなぐの言葉に合わせ、全員が私から顔をそむける。

その様子に安心しながら布を下げる。素顔をさらす。

首が、のど仏が見えないように気を遣う。



「・・・・キレイな顔してるじゃないか?」



道具を手にした徳さんがつぶやく。



「恥ずかしいんで、コメントは控えさせて下さい。」



苦笑いして見せれば、相手もニッコリと笑ってうなずく。

作業を始める。



「俺もぼっしーのお顔が見たいなぁ~?」

「ごめんなさい。」

「もぉ~そう言われると許しちゃうんですよねぇ~」



背後から響く声に謝罪すれば、甘えるような声で笑われた。