「みなさん、すみません。嫌なことをさせましたね。」
「え?何で謝るんだ?」
「だって・・・家出っ子達が連れて行かれるのを、黙ってみていたんでしょう?助けられたかもしれないのに・・・」
それでに静かになる。
「お前、優しい奴だな。」
「え?」
言ったのは丸山さん。
「俺達より子供なのに、そこまで他人のことを考えられて・・・懐が広いな。」
「いえ、僕はそんなこと・・・」
「そうなんですよ!ぼっしーは最強ですから!」
「つなぐ!」
「関山つなぐ、参りました。」
時間ピッタリに現れた忍びは、ウキウキしながら私に近づいてくる。
「俺のこと、待ち遠しかったでしょう~?そんなぼっしーのために、こちらをご用意しました。」
そう言って渡されたのはカバン。
「これ・・・?」
「俺が中学の時に使っていたものです。」
その言葉通り、校章の入ったカバンだった。
「声をかけやすくするなら、こういう工夫をしないといけません!未成年だとアピールしませんとね?」
「僕、高校生だけど?」
「族の総長よりも、幼い中学生に化けた方が良いでしょう?」
「それもそうだね・・・」
少しでも一般人ぽく見られた方が良い。
「シルキロールも、マスクに変えて下さいね。」
「わかりました。」
差し出されたマスクを受け取って背を向ける。
誰にも見えないように素早く交換した。
「あ、ぼっしー!」
「チョコ、何で隠れるんだ。」
「照れ屋なんですよ。」
「大変だ!」
そう言ってごまかした時、血相変えたホームレスの1人が飛び込んでくる。
「MESSIAHが子供狩りを始めたぞ!」
それで全員の表情が変わる。
「わかりました。」
これが合図だった。
「準備をお願いします。」
私が言えば、横にいた丸山さんが確認するように聞いてきた。


