彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「みなさん、すみません。嫌なことをさせましたね。」

「え?何で謝るんだ?」

「だって・・・家出っ子達が連れて行かれるのを、黙ってみていたんでしょう?助けられたかもしれないのに・・・」



それでに静かになる。



「お前、優しい奴だな。」

「え?」



言ったのは丸山さん。




「俺達より子供なのに、そこまで他人のことを考えられて・・・懐が広いな。」

「いえ、僕はそんなこと・・・」


「そうなんですよ!ぼっしーは最強ですから!」

「つなぐ!」

「関山つなぐ、参りました。」




時間ピッタリに現れた忍びは、ウキウキしながら私に近づいてくる。



「俺のこと、待ち遠しかったでしょう~?そんなぼっしーのために、こちらをご用意しました。」



そう言って渡されたのはカバン。



「これ・・・?」

「俺が中学の時に使っていたものです。」



その言葉通り、校章の入ったカバンだった。



「声をかけやすくするなら、こういう工夫をしないといけません!未成年だとアピールしませんとね?」

「僕、高校生だけど?」

「族の総長よりも、幼い中学生に化けた方が良いでしょう?」

「それもそうだね・・・」



少しでも一般人ぽく見られた方が良い。



「シルキロールも、マスクに変えて下さいね。」

「わかりました。」



差し出されたマスクを受け取って背を向ける。

誰にも見えないように素早く交換した。



「あ、ぼっしー!」

「チョコ、何で隠れるんだ。」

「照れ屋なんですよ。」

「大変だ!」



そう言ってごまかした時、血相変えたホームレスの1人が飛び込んでくる。



「MESSIAHが子供狩りを始めたぞ!」



それで全員の表情が変わる。



「わかりました。」



これが合図だった。



「準備をお願いします。」



私が言えば、横にいた丸山さんが確認するように聞いてきた。