「マンションにクラブに、ファミレスまで・・・」
敵がよく使う場所に印がついている。
「それだけじゃない。MESSIAHのメンバーの顔も・・・ほら!」
丸山さんから差し出されたのは紙の束。
とてもリアルな似顔絵だった。
「上手ですね!?」
「美術学校出身の徳さんが書いてくれたんだよ。」
「へへへ~」
丸山さんの言葉で、メガネのおじさんがニッコリ笑う。
「ちゃんと、役割ごとに仕分けしてある。今渡したのが、家出したガキをスカウトするスカウト班。こっちが、ガキたちをホテルや店に運ぶ係りと、見張り役の奴ら。幹部らしい奴らに分けてる。」
そう言いながらいくつかの紙の束を机の上に置いて行く。
丁重な仕分けと仕事ぶりだった。
「本名か偽名か知らないが、呼ばれていた名前を下に書いたから。」
「こんなに細かく・・・助かります!警察に出す時、強い証拠になります。」
「そう言ってもらえると、やった甲斐がある。それで・・・こいつがMESSIAHの頭だよ。」
「この人ですか?」
差し出されたモンタージュは、ロン毛の男だった。
「この黒木ってやつの行動パターンも調べといたぞ。」
「ありがとう、丸山さん。みなさん。これで少女たちを救えます。」
「できれば、少年も救ってやってくれ。」
「少年?」
「ああ、俺らが見る限り、男にも声をかけてた。」
「黒木がですが?」
「黒木は声をかけない。社長みたいな立場だから、手下にやらせてる。最初に見せたスカウト班にな。」
「奴らが声をかけてるのは、未成年。中学生ぐらいからだ。男女も関係ない。」
「男の子にも声をかけるんですか?」
「世の中には男が良い奴もいるんだ。性格も・・・大人しいじゃなくて、自分達についてくるかどうかで決めてる。一番は、帰る場所がない子達みたいだ。」
「そうでしたか・・・」
「そうだよ!小学生にも声をかけてたからな!」
「逃げてくれてよかったぜ!」
「カップルで家出してる子もいたが・・・どうなったか・・・」
その話を聞き、罪悪感が強くなる。


