彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「マンションにクラブに、ファミレスまで・・・」



敵がよく使う場所に印がついている。



「それだけじゃない。MESSIAHのメンバーの顔も・・・ほら!」



丸山さんから差し出されたのは紙の束。

とてもリアルな似顔絵だった。



「上手ですね!?」

「美術学校出身の徳さんが書いてくれたんだよ。」

「へへへ~」



丸山さんの言葉で、メガネのおじさんがニッコリ笑う。



「ちゃんと、役割ごとに仕分けしてある。今渡したのが、家出したガキをスカウトするスカウト班。こっちが、ガキたちをホテルや店に運ぶ係りと、見張り役の奴ら。幹部らしい奴らに分けてる。」



そう言いながらいくつかの紙の束を机の上に置いて行く。

丁重な仕分けと仕事ぶりだった。



「本名か偽名か知らないが、呼ばれていた名前を下に書いたから。」

「こんなに細かく・・・助かります!警察に出す時、強い証拠になります。」

「そう言ってもらえると、やった甲斐がある。それで・・・こいつがMESSIAHの頭だよ。」

「この人ですか?」



差し出されたモンタージュは、ロン毛の男だった。



「この黒木ってやつの行動パターンも調べといたぞ。」

「ありがとう、丸山さん。みなさん。これで少女たちを救えます。」

「できれば、少年も救ってやってくれ。」

「少年?」

「ああ、俺らが見る限り、男にも声をかけてた。」

「黒木がですが?」

「黒木は声をかけない。社長みたいな立場だから、手下にやらせてる。最初に見せたスカウト班にな。」

「奴らが声をかけてるのは、未成年。中学生ぐらいからだ。男女も関係ない。」

「男の子にも声をかけるんですか?」

「世の中には男が良い奴もいるんだ。性格も・・・大人しいじゃなくて、自分達についてくるかどうかで決めてる。一番は、帰る場所がない子達みたいだ。」

「そうでしたか・・・」

「そうだよ!小学生にも声をかけてたからな!」

「逃げてくれてよかったぜ!」

「カップルで家出してる子もいたが・・・どうなったか・・・」



その話を聞き、罪悪感が強くなる。