彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「慣れてきた未成年を、長く手元に置いておくと都合が悪いとかで、古株から順に売って行くそうです。新入りと比べ、薬もなじんでいるので客も扱いやすいと・・・」

「下種だな・・・」

「ごもっともです。動きますか?」

「もちろんです。」

「瑞希お兄ちゃんはこのことは・・・」

「ご存じかもしれません。獅子島先輩の情報網は怖いですから。」

「つなぐ・・・俺達はあくまで、家出人である春野なずなという少女を探していたら、たまたまMESSIAHに遭遇しただけだ・・・わかるな?」

「御意に。」

「丸山さん達に連絡をして下さい。今夜、決行すると・・・。」

「かしこまりました。魚が餌に食らいついてくれればいいのですが・・・」

「ダメだった時のことも考えて、いくつかプランを決めたでしょう?」

「そうですね。しかし・・・カンナちゃん達には言わなくていいんですか?」

「うん・・・仲間はずれにするつもりはないけど・・・宿題の進み具合からして、ちょっとねー・・・」



夏休み終了までに、間に合うか怪しいもん。

それに・・・



「・・・・危険に巻き込みたくないから・・・」

「お優しいですね。」

「っ!?」



ひとり言のつもりが聞こえていたらしい。



「と、とにかく!ちーちゃんにも伝えて下さいね?」

「仰せのままに。」

「凛君、なにしてるの?」



それで心臓が口から飛び出しそうになる。



「りょ、りょりょ涼子ちゃん!?」

「遅いから、来ちゃったの。あ、そっちじゃないよ。教科書があるのは、凛君の後ろの本棚です。」

「え?あ、ああ、こっちだったのかぁ~」

「物理以外にも必要だから、まとめて持って行きましょう。2人で運んだ方が早いですから。」

「二人・・・」



それで気づく。

隣にいたはずのつなぐがいなくなっていたことに。



(いない!?どこに行ったの??)



「どうしたの、凛君?」

「え!?いいえ、なんでもないですよ~」

「そう?」



不思議そうに小首をかしげる友達に笑顔で誤魔化す。

改めて、つなぐは忍者なんだと思った。