「慣れてきた未成年を、長く手元に置いておくと都合が悪いとかで、古株から順に売って行くそうです。新入りと比べ、薬もなじんでいるので客も扱いやすいと・・・」
「下種だな・・・」
「ごもっともです。動きますか?」
「もちろんです。」
「瑞希お兄ちゃんはこのことは・・・」
「ご存じかもしれません。獅子島先輩の情報網は怖いですから。」
「つなぐ・・・俺達はあくまで、家出人である春野なずなという少女を探していたら、たまたまMESSIAHに遭遇しただけだ・・・わかるな?」
「御意に。」
「丸山さん達に連絡をして下さい。今夜、決行すると・・・。」
「かしこまりました。魚が餌に食らいついてくれればいいのですが・・・」
「ダメだった時のことも考えて、いくつかプランを決めたでしょう?」
「そうですね。しかし・・・カンナちゃん達には言わなくていいんですか?」
「うん・・・仲間はずれにするつもりはないけど・・・宿題の進み具合からして、ちょっとねー・・・」
夏休み終了までに、間に合うか怪しいもん。
それに・・・
「・・・・危険に巻き込みたくないから・・・」
「お優しいですね。」
「っ!?」
ひとり言のつもりが聞こえていたらしい。
「と、とにかく!ちーちゃんにも伝えて下さいね?」
「仰せのままに。」
「凛君、なにしてるの?」
それで心臓が口から飛び出しそうになる。
「りょ、りょりょ涼子ちゃん!?」
「遅いから、来ちゃったの。あ、そっちじゃないよ。教科書があるのは、凛君の後ろの本棚です。」
「え?あ、ああ、こっちだったのかぁ~」
「物理以外にも必要だから、まとめて持って行きましょう。2人で運んだ方が早いですから。」
「二人・・・」
それで気づく。
隣にいたはずのつなぐがいなくなっていたことに。
(いない!?どこに行ったの??)
「どうしたの、凛君?」
「え!?いいえ、なんでもないですよ~」
「そう?」
不思議そうに小首をかしげる友達に笑顔で誤魔化す。
改めて、つなぐは忍者なんだと思った。


