彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「はい、春野なずなの件で情報が入りました。」

「なにかわかったんですか?」



小声で聞き返せば、小声で答えてくれた。



「丸山殿からの知らせで、春野なずながMESSIAHの手の者に声をかけられ、連れて行かれたことがわかりました。」

「それじゃあ・・・?」

「MESSIAHの元にいます。」

「無事ですか?」

「昨夜、目撃されています。場所は、MESSIAHのメンバーが使っているマンションです。」

「そこに、他の家出少女達も・・・?」

「一部はいます。」

「一部?」

「奴は、家出した未成年を監禁するためのマンションを5か所持っています。そこに未成年達を閉じ込めていますが、5か所すべてに監禁してる日もあれば、3か所だけにしている日もあります。監禁場所と閉じ込めるメンバーを、日替わりでランダムに変えております。その日の気分次第なのでしょうが。」

「それはややこしいですね・・・。助ける側としたら、面倒なことをしてくれてる・・・」

「おっしゃる通りです。仮にどれか1つに警察が踏み込んでも、他の4か所の監禁場所から少女達を連れて逃げ出せるような仕組みになっております。」

「助けるなら・・・同時に踏み込む必要がありますね。」

「その通りです。」

「なるほど・・・渡瀬さんが手を焼くわけですね・・・」

「しかし、動くなら今夜です。」

「今日ですか?」

「はい。今夜は月に一度のセリの日らしいのです。」

「セリ?」

「奴らが風俗店に少女達を売る日なんです。」

「え!?」

「お静かに。」



人差し指を口に当てながら、小声でつなぐはささやく。