彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「だれか、物理の教科書持ってませんか?涼子ちゃん、あります?」

「ごめんなさい。今日は持ってきてなくて・・・でも、図書館にあるはずだよ。」

「本当ですか。」

「うん、あっちの本棚の方だよ。案内しましょうか?」

「お気持ちだけでいいです。表示とかありますよね?それを頼りに探します。」

「わかりました。迷ったら戻ってきてくださいね。」

「もちろんです。じゃあ、家庭教師お願いします。」

「はい。」



笑顔で送り出され、音に気をつけながら席を立つ。



パン!

「痛い!?」



突然のお尻への痛み。



「な・・・カンナさん!?」

「図書館では静かにしろよ、テメー」



怒りながら言うカンナさんの態度で、八つ当たりされたと知る。

宿題するのが嫌だからって、そういうことしないでほしいな。



〔★残念ながら、違う理由で怒ってる★〕



仲間達を残して、1年生の教科書を探しに行く。



(結構離れた場所にあるのね・・・)



他の教科書も使いそうだし、往復するのも大変だからまとめて持って行こうかな?

そんな思いで目的の本棚を見上げる。



「えーと、物理の教科書は・・・」

「こちらです。」



ヌッと目の前に差し出されドキッとする。

差し出してきた相手を見て、もう一度ドキッとした。



「え!?つなぐ!?」

「しっ!お静かに・・・我が君。」



東山高校の男子生徒の制服を着たつなぐだった。



「あなたもコスプレですか?」

「そこは、どうしてここにいるかを聞いてください。」

「どうしてここにいるんですか?」



言われた通りに言い直せば、苦笑いしながらつなぐは言った。