「だれか、物理の教科書持ってませんか?涼子ちゃん、あります?」
「ごめんなさい。今日は持ってきてなくて・・・でも、図書館にあるはずだよ。」
「本当ですか。」
「うん、あっちの本棚の方だよ。案内しましょうか?」
「お気持ちだけでいいです。表示とかありますよね?それを頼りに探します。」
「わかりました。迷ったら戻ってきてくださいね。」
「もちろんです。じゃあ、家庭教師お願いします。」
「はい。」
笑顔で送り出され、音に気をつけながら席を立つ。
パン!
「痛い!?」
突然のお尻への痛み。
「な・・・カンナさん!?」
「図書館では静かにしろよ、テメー」
怒りながら言うカンナさんの態度で、八つ当たりされたと知る。
宿題するのが嫌だからって、そういうことしないでほしいな。
〔★残念ながら、違う理由で怒ってる★〕
仲間達を残して、1年生の教科書を探しに行く。
(結構離れた場所にあるのね・・・)
他の教科書も使いそうだし、往復するのも大変だからまとめて持って行こうかな?
そんな思いで目的の本棚を見上げる。
「えーと、物理の教科書は・・・」
「こちらです。」
ヌッと目の前に差し出されドキッとする。
差し出してきた相手を見て、もう一度ドキッとした。
「え!?つなぐ!?」
「しっ!お静かに・・・我が君。」
東山高校の男子生徒の制服を着たつなぐだった。
「あなたもコスプレですか?」
「そこは、どうしてここにいるかを聞いてください。」
「どうしてここにいるんですか?」
言われた通りに言い直せば、苦笑いしながらつなぐは言った。


