「それで前に・・・僕と一緒にいない方が良いって言ったんですか?」
過去の心当たりを口にすれば、うなだれながら彼女は言った。
「ごめんなさい・・・!そう言われちゃって、本当にそうかもしれないって思って・・・凛君にあんなこと・・・彼女達に言われたからで・・・私の本心じゃなかった・・・。でも・・・!」
視線を下げたまま涼子ちゃんは言った。
「私・・・なぜかヤンキーの子に笑われることが多くて・・・・」
「え?」
(涼子ちゃんも?)
―クスクスクス、クスクス。―
―やだぁ、おかしいよね?―
―なに、あの顔~?―
内心ドキッとすれば、作り笑いをしながら涼子ちゃんは言った。
「笑われるような女の子と一緒にいたら、凛君まで恥ずかしい思いしないかなって・・・」
無理して、何でもないように言う姿に胸が締め付けられた。
「悪くない。」
「凛君?」
自然とその言葉が口から出ていた。
「涼子ちゃんは悪くない。涼子は笑われるような子じゃない。いい子だ。あんな風に、大勢で取り囲んで延々と言われたから、軽い洗脳状態になってるだけだよ。あいつらの言葉なんて信じなくていい。」
「凛君・・・」
「笑うやつがおかしいんだ。笑いたい奴は、勝手に笑わせておけ。俺は・・・涼子は涼子のままでいいと思ってる。」
凛は凛のままでいいと言ってくれたあの方の言葉。
「そいつらに惑わされるな。そいつらも、俺らと違った意味でイカれてる。見た目で判断されるのは、いい気がしない。俺も似たような経験してっからさ。」
瑞希お兄ちゃんと同じセリフを言っていた。
私の気持ちを変えてくれたように、涼子ちゃんの気持ちも変わるんじゃないかと思ったから。
「こんな僕だけど・・・・これからも仲良くしてくれますか?」
ドキドキしながら聞けば、彼女は泣きそうな顔をした後で言った。
「・・・・もちろんです。ありがとう・・・凛君。」
自然に微笑む涼子ちゃんに、私も嬉しくて同じ顔をした。
「お礼を言うのは僕の方だよ。ありがとう、涼子ちゃん。僕の良心。」
「凛君。」
「涼子ちゃん。」
「って!オメーら、あたしの存在を忘れんなよっ!!」
2人の距離が縮まった時、近くにいたカンナさんが叫ぶ。


