彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「先輩方、涼子ちゃんをいじめたのか?」

「凛君!やめてください!」

「ち、違います!」

「あたしらはただ、ケジメを~」

「けじめ?」



涼子ちゃんとは無縁そうな単語が出てきたこと不信感が増す。



「そうなんすよ!こいつ、族でもないくせに凛道さんに優しくされて、勘違いしてるみたいだったから~!」

「JAGUARの件にも首突っ込んで、凛道さんにあざとく甘えてるって言うか~」

「凛道さんが、小林に迷惑してんじゃないかと~」



「―――――――――誰がそんなこと言ったっ!?」

「「「ひっ!?」」」



黙っていいわけを聞いてみたが・・・



「俺がいつ、テメーらに涼子が目障りだから閉めろとでも頼んだっ!!?」



癪に障った。

ふいに、渕上ルノアとその仲間達の姿が浮かぶ。

どこにいっても、こういうやつがいる。

殴りたい。

だめなら、蹴り飛ばしたい。

我慢するけど、気が収まらない。

殴っちゃダメなら、殴るふりをするぐらいならー



「凛君!?」



拳をにぎって構える。



「ダメっ!やめてー!!」



顔面ギリギリで、寸止めすれば――――――――――




「なにやってんだ、凛!?」




その声で、反射的に動きが止まる。

誰なのかわかった。



「・・・カンナさん。」

「おいおい!なんなんだよ、これ!?」



友達第一号が、目を見開きながらやってくる。

その顔を見ていたら、バツが悪くなる。

フェイントをかけようとした手を下ろした時、目の前に八重歯の彼女が来ていた。



「凛!!テメー頭のくせに、女に手を出そうとしたのか!?」

「・・・ふりだけです。」

「そこは嘘でも否定しろ!・・・たくっ!なにがあったかは、だいたいわかるぞ・・・!?」



私を見た後で、他の面々を見渡すカンナさん。



「先輩方、小林、なんかしましたかー?」

「お、お前には関係ないだろう?」



カンナさんの問いかけに、先輩らしい態度を取る。

先輩達の態度は、明らかに強がっているだけのもの。

カンナさんを怖がっているのが、まるわかりだった。

そんな見掛け倒しだけの奴らを、カンナさんは鼻で笑ってから言った。