「先輩方、涼子ちゃんをいじめたのか?」
「凛君!やめてください!」
「ち、違います!」
「あたしらはただ、ケジメを~」
「けじめ?」
涼子ちゃんとは無縁そうな単語が出てきたこと不信感が増す。
「そうなんすよ!こいつ、族でもないくせに凛道さんに優しくされて、勘違いしてるみたいだったから~!」
「JAGUARの件にも首突っ込んで、凛道さんにあざとく甘えてるって言うか~」
「凛道さんが、小林に迷惑してんじゃないかと~」
「―――――――――誰がそんなこと言ったっ!?」
「「「ひっ!?」」」
黙っていいわけを聞いてみたが・・・
「俺がいつ、テメーらに涼子が目障りだから閉めろとでも頼んだっ!!?」
癪に障った。
ふいに、渕上ルノアとその仲間達の姿が浮かぶ。
どこにいっても、こういうやつがいる。
殴りたい。
だめなら、蹴り飛ばしたい。
我慢するけど、気が収まらない。
殴っちゃダメなら、殴るふりをするぐらいならー
「凛君!?」
拳をにぎって構える。
「ダメっ!やめてー!!」
顔面ギリギリで、寸止めすれば――――――――――
「なにやってんだ、凛!?」
その声で、反射的に動きが止まる。
誰なのかわかった。
「・・・カンナさん。」
「おいおい!なんなんだよ、これ!?」
友達第一号が、目を見開きながらやってくる。
その顔を見ていたら、バツが悪くなる。
フェイントをかけようとした手を下ろした時、目の前に八重歯の彼女が来ていた。
「凛!!テメー頭のくせに、女に手を出そうとしたのか!?」
「・・・ふりだけです。」
「そこは嘘でも否定しろ!・・・たくっ!なにがあったかは、だいたいわかるぞ・・・!?」
私を見た後で、他の面々を見渡すカンナさん。
「先輩方、小林、なんかしましたかー?」
「お、お前には関係ないだろう?」
カンナさんの問いかけに、先輩らしい態度を取る。
先輩達の態度は、明らかに強がっているだけのもの。
カンナさんを怖がっているのが、まるわかりだった。
そんな見掛け倒しだけの奴らを、カンナさんは鼻で笑ってから言った。


