彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




かけなおしてみるが、つながらない。



「仕方ない・・・待とうか・・・」



怒るを通り越して、呆れてしまった。

息を吐きながら、塀にもたれかかっていた体を起こす。

太陽の位置が高くなってきたせいで、体が熱くなっていた。



(ちーちゃんが来るまで時間はかかる。それまで、どこか涼しくて座れる場所はないかな?)



ここだと暑いし、のどが渇く。

なにか飲み物でも買おうかな?

自動販売機、どこにあるかな?

そんな思いで、移動しようとした時だった。




「何とか言えよ、小林!!!」

「わ!?」




意外と近くから、罵声が聞こえた。



「え・・・!?『小林』・・・??」

―凛君。―



私の中の小林さんが頭に浮かぶ。



「まさか涼子ちゃんじゃ・・・」



いやいや、小林はよくある苗字。



(他の人かもしれないけど・・・)




「シカトかよ!なんか言えよ!」

「ムカつくんだよ!」

「下向くな、ボケ!こっち見ろ!」

「・・・・・・もめてるのは確かだよね?」




暑いからイライラしてるのかもしれない。

それで大声を出してるかもしれないけど・・・・



「気になるな・・・」



聞えてきた内容が、キツかったので気になった。

部外者ということで抵抗があったけど、無視する気になれなかった。

少し迷ったけど、東山高校の敷地に入る。

覗き込んで、キョロキョロしてみる。



「あれ・・・?」



目に飛び込んできたのは、女子生徒の姿。

派手な3人の女子が、1人の女の子を取り囲んでいた。

その1人に、見覚えがあった。



「涼子ちゃん!?」



友達の小林涼子ちゃんだった。



(さっきの小林は、涼子ちゃんのことだったんだ!)



〔★知ってる小林さんだった★〕