彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




〈リンリン無事!?リンリンも俺の世界史も無事!?食われてない!〉

「大丈夫です。肉食系なので、紙は食べません。僕も無事です。」

〈草食系じゃなくてよかったぁ~!マジ焦ったし!明日いる系だから~!〉

「え?明日・・・ですか?」



ちーちゃんの言葉に、あれ?と思う。



「明日って、東山高校は登校日ですよね?夏休み明けの提出じゃないですか?」

〈ウェイウェイウェイ~カンナっちから聞いてない系~?世界史は、進み具合をチェックして、遅い奴だけ始業式まで学校に通う系なんだよぉ~?〉

「親切ですね。」

〈どこが~!?俺、昨日から徹夜にチャレンジ中で、寝不足で鬼ヤバなのに~!取りに行くから、リンリン、守っててくれる系?〉

「え?寝てないんですか?」



それで出歩くのは・・・取りに来るのは危なくない?



(てか、車で来るんだったら、危なくない?免許ないから、危なくない?)



〔★交通違反にもなる★〕



少し考えてから、電話の相手にたずねた。



「ちーちゃん、世界史の宿題、明日に間にあえばいいんだよね?」

〈そうだけど?〉

「じゃあ、僕が東山まで持って行くから、今夜はちーちゃん寝て下さい。」

〈マジで!?〉

「マジです。」



聞き返す相手に伝える。



「僕が持って行くから、休んで下さい。体壊しちゃいますよ。」

〈ヤバいリンリン!俺、泣いてる!〉

「あくびですか?今日はちゃんと寝て下さいね?」

〈ちげぇし!ガチで、リンリンの優しさで泣けてる系だから!マジでリンリン愛してる系~!〉

「じゃあ、どのあたりで待ち合わせますか?正門は・・・目立ちますかね?」

〈ウェイウェイウェイ!そんなクールなところもひかれぅー!裏門に始業式後でOK―!?〉

「わかりました。では、また明日。」

〈もちアゲイン!リンリン、おやちゅみぃ~〉

「はい、おやすみなさい。」



最後は元気なちーちゃんの声が聞けた。

ホッとしながら電話を切る。