〈リンリン無事!?リンリンも俺の世界史も無事!?食われてない!〉
「大丈夫です。肉食系なので、紙は食べません。僕も無事です。」
〈草食系じゃなくてよかったぁ~!マジ焦ったし!明日いる系だから~!〉
「え?明日・・・ですか?」
ちーちゃんの言葉に、あれ?と思う。
「明日って、東山高校は登校日ですよね?夏休み明けの提出じゃないですか?」
〈ウェイウェイウェイ~カンナっちから聞いてない系~?世界史は、進み具合をチェックして、遅い奴だけ始業式まで学校に通う系なんだよぉ~?〉
「親切ですね。」
〈どこが~!?俺、昨日から徹夜にチャレンジ中で、寝不足で鬼ヤバなのに~!取りに行くから、リンリン、守っててくれる系?〉
「え?寝てないんですか?」
それで出歩くのは・・・取りに来るのは危なくない?
(てか、車で来るんだったら、危なくない?免許ないから、危なくない?)
〔★交通違反にもなる★〕
少し考えてから、電話の相手にたずねた。
「ちーちゃん、世界史の宿題、明日に間にあえばいいんだよね?」
〈そうだけど?〉
「じゃあ、僕が東山まで持って行くから、今夜はちーちゃん寝て下さい。」
〈マジで!?〉
「マジです。」
聞き返す相手に伝える。
「僕が持って行くから、休んで下さい。体壊しちゃいますよ。」
〈ヤバいリンリン!俺、泣いてる!〉
「あくびですか?今日はちゃんと寝て下さいね?」
〈ちげぇし!ガチで、リンリンの優しさで泣けてる系だから!マジでリンリン愛してる系~!〉
「じゃあ、どのあたりで待ち合わせますか?正門は・・・目立ちますかね?」
〈ウェイウェイウェイ!そんなクールなところもひかれぅー!裏門に始業式後でOK―!?〉
「わかりました。では、また明日。」
〈もちアゲイン!リンリン、おやちゅみぃ~〉
「はい、おやすみなさい。」
最後は元気なちーちゃんの声が聞けた。
ホッとしながら電話を切る。


