彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「瑞希お兄ちゃーん!ちーちゃんが、みんなでここに勉強しに来た日に、世界史の宿題を忘れて帰ったそうなんですが・・・」

「あん、夏休みの宿題をか?幡随院が来た日・・・その日は確か、烈司と伊織がいたな。どうなんだ、2人共?」



すぐさま、烈司さんと獅子島さんに確認を取るお兄ちゃん。



「ああ、覚えてる。世界史が終わったって、大騒ぎしてたからな。」

「フン!スマホで答えを探せば、早く終わるだろう。」

「あの~そういうのって、獅子島さん的にはどうなんですか?」



勉強は真面目そうだから、怒りそうな気がする。

個人的にも、ちょっとズルいんじゃないかなぁ~と思いながらを聞けば、こちらをジロッと見ながら言った。



「問題集の空欄が埋まり、宿題が完成すればいい。頭に入ってようが、なかろうが、困るのは本人だ。」

「ご、ごもっともですね。」



〔★自己責任らしい★〕



「宿題のやり方はいいからよ、肝心の問題集がないんだろう?烈司、伊織、見てないか?」

「ドヤ顔で見せてきたのは覚えてる。」

「あとは知らん。」

「モニカと皇助は?」

「あたしも見てないわねぇ~」

「わははは!これかぁー!?」

「百鬼さんそれ!?」



そう言った野獣の手には、少しボロボロになった世界史の問題集があった。



「わはははは!店の雑誌コーナーにはさんであったぞ!」

「よかった!ありがとうございます、百鬼さん!」



それを見届けてから、携帯を耳にあてる。


「ちーちゃん、見つかりましたよ!」

〈マジで!?ちーちゃんの世界史の宿題、どこにあるのリンリーン!?〉

「百鬼さんの手の中です。」

〈のおぉぉぉぉ!早くヘルプして!ちーちゃんの世界史をヘルプミーして!〉

「わかってます。」



椅子から降りて、百鬼さんの前まで言って手を出す。



「百鬼さん。」

「わははは!」


それに野獣は、パン!と良い音を立てて手渡してくれた。



〔★救助に成功した★〕