彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「あら~イイ感じね!」

「モニカちゃん、これって・・・」

「そうよ~パトロールの時に着る服よ~」



用意された服は、夜回りをするための服。

オシャレTシャツにしか見えないのは、モニカちゃんの腕前だと思う。




「似合うな、凛。」

「瑞希お兄ちゃん!?」




大好きな声のした方を見れば、お店へと降りてきた瑞希お兄ちゃんがいた。



(見る限り、いつも通りだけど・・・)



「き、来ました!瑞希お兄ちゃん!」

「ああ、よく来たな。」



そう言って、頭をなでてくれる。




(いつも通りだわ・・・)




私への対応にホッとしたけど、不安は消えない。

言葉を選びながら、彼に話しかけた。



「瑞希お兄ちゃん・・・御用は何でしょうか?」

「んー?別に・・・」



私の髪を、手で遊びながら瑞希お兄ちゃんは言う。



「凛の元気な顔が見たかっただけだ。」



(つまり、あんな別れ方をしたので、無事を確認したかったということですか・・・!?)



「瑞希、凛たんに飲み物入れてやれよ?」



瑞希お兄ちゃんの言葉の意味を読み取っていれば、彼の後ろから烈司さんが声をかけてくれた。



「いつも入れてやるじゃんか?」

「この時間に飲ませたら、眠れなくなる。」

「はは!こんな時間に呼び出しといて、よく言うぜ~だったらカフェイン以外を入れてやればいいだろう?なぁ、凛たん?」

「いえ、僕は別に・・・」

「・・・・凛、マンゴージュース飲むか?」

「え?」

「果実から作ったんだ・・・飲むか?」

「・・・うん。」



うなずけば、私の髪から手が抜ける。



「あ・・・。」



無言でキッチンへと行く瑞希お兄ちゃん。



「ま、待って!」



彼の後を、慌てて追いかける。