彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




ビクビクしながら身を寄せれば、相手は私の背中と頬を撫で始める。



「いいわ・・・そのまま・・・」

「ひゃっ!?」



そうささやいた彼の唇が、私の首にふれる。

キスされた。



「ちょ、ちょっと!?」



(そっちの方が、セクハラに――――――――)





「恋人の振りして。」




(なりませんね、セクハラ!!)



「こ、恋人って、本気ですか!?」

「声が大きい。」

「恋人って本気ですか?」

「小声で言い直さなくていいわよ。振りをしてくれればいいから。」




そう言いながら、私のほっぺに口づけてくる。



(きゅあああああああ!!?)



「蓮君も・・・・・口以外なら許すから・・・。して・・・!」

「え、え、え、え、え?」



ロボットみたいに、ガタガタ動きつつも、思い切って手の甲にキスした。



「・・・・ばか。」



くすくす笑いながら言われる。



「そー言われても・・・・」

「抱き付いてるだけでいいわ。動かないでね。」



そう言って抱き寄せられ、髪やら鼻やらにキスされる。



(なにこれ・・・!?こんな幻覚、初めてなんですけど!?)



リアリティがないラブイベントに沸騰しそうになる。

伸びてきた彼の手に、背中を、腰を撫でられ、服をまさぐられる。



(え?服を、まさぐってる・・・・?)



「だ、だめです!む・・・胸囲はダメ!」

「触ってるだけでしょう?」

「くすぐったいんです!」



(う、嬉しいけど、胸はダメー!おっぱいがバレるー!!)




「ヒュー!逆レイプかよ、お姉さん!?」



冷や冷やする私を、私達を、通行人の男達が冷やかす。



「うちにも美少年がいるぜ!どうよ!?」



そのうちの1人が立ち止まり、何かを差し出してくる。

それに瑞希お兄ちゃんが手を伸ばして受け取った。




(名刺・・・?)



「積極的~」

「今度は俺らの相手もしてくれよ~」

「店で待ってるぜ~!」




(なんだったの・・・?)



そうしてる間に、男女を下ろした車が目の前を通過する。

瑞希お兄ちゃんに話しかけた男達も立ち去る。