ビクビクしながら身を寄せれば、相手は私の背中と頬を撫で始める。
「いいわ・・・そのまま・・・」
「ひゃっ!?」
そうささやいた彼の唇が、私の首にふれる。
キスされた。
「ちょ、ちょっと!?」
(そっちの方が、セクハラに――――――――)
「恋人の振りして。」
(なりませんね、セクハラ!!)
「こ、恋人って、本気ですか!?」
「声が大きい。」
「恋人って本気ですか?」
「小声で言い直さなくていいわよ。振りをしてくれればいいから。」
そう言いながら、私のほっぺに口づけてくる。
(きゅあああああああ!!?)
「蓮君も・・・・・口以外なら許すから・・・。して・・・!」
「え、え、え、え、え?」
ロボットみたいに、ガタガタ動きつつも、思い切って手の甲にキスした。
「・・・・ばか。」
くすくす笑いながら言われる。
「そー言われても・・・・」
「抱き付いてるだけでいいわ。動かないでね。」
そう言って抱き寄せられ、髪やら鼻やらにキスされる。
(なにこれ・・・!?こんな幻覚、初めてなんですけど!?)
リアリティがないラブイベントに沸騰しそうになる。
伸びてきた彼の手に、背中を、腰を撫でられ、服をまさぐられる。
(え?服を、まさぐってる・・・・?)
「だ、だめです!む・・・胸囲はダメ!」
「触ってるだけでしょう?」
「くすぐったいんです!」
(う、嬉しいけど、胸はダメー!おっぱいがバレるー!!)
「ヒュー!逆レイプかよ、お姉さん!?」
冷や冷やする私を、私達を、通行人の男達が冷やかす。
「うちにも美少年がいるぜ!どうよ!?」
そのうちの1人が立ち止まり、何かを差し出してくる。
それに瑞希お兄ちゃんが手を伸ばして受け取った。
(名刺・・・?)
「積極的~」
「今度は俺らの相手もしてくれよ~」
「店で待ってるぜ~!」
(なんだったの・・・?)
そうしてる間に、男女を下ろした車が目の前を通過する。
瑞希お兄ちゃんに話しかけた男達も立ち去る。


