彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




お姉さんを演じる好きな人から注意を受け、素直にうなずきつつも様子をうかがう。

相手はすぐに動いた。



「坊やはここで、なにをしてたの?」



予想は出来ていた問いなので即答した。



「お姉さんこそ、何してるんですか?」

「ほほほ!坊やには関係ないわよ。それよりも、お姉さんの質問に答えなさい。坊やこそ、何してるの?」



はぐらかしてきたので、私も同じことをした。



「なんでもないです。」

「嘘つくんじゃないわよ!言いなさい!」



口調はお姉さんだけど、お兄ちゃんモードで問い詰めてくる。

だから私も、負けじと言い返す。



「い、言いません!知らない人に・・・言えません!」

「むっ!?・・・それもそうね・・・」



初対面設定がきいているのか、少し考えるようなそぶりをしてから瑞希お兄ちゃんは言った。



「お姉さん、今お仕事中なのよ。」

「お仕事?」

「そう!実はね、家出人の捜査をしてる・・・探偵なの。」

「探偵・・・!?」



(そういう設定にすると言ってたわね・・・)



〔★瑞希の演技が始まった★〕



立ち聞きした設定を思い出して納得する。

同時に、私もそれに合わせようと決める。



「え、探偵なんですか!?僕、本物視るのは、初めてです!」



驚くふりを・・・実際に驚いたけど・・・びっくりしたふりをする。

それを、出来るだけ無邪気に演じた。

そんな私の演技を信じたのか、瑞希お兄ちゃんは優しく言った。



「そうよ。私は女探偵・・・・鈴音ミクよ。」

「鈴音ミク・・・・」



何度聞いても、ボーカロイドをもじった名前に笑いそうになる。



(可愛いなぁ、瑞希お兄ちゃんならぬ、ミクお姉さん♪)



「ミクって呼んでね。あなた、お名前は?」

「あ・・・凛道蓮と申します。」

「蓮君ね。よろしく。」



はじめましての挨拶をする。

変なやり取りだと思いつつも聞いた。