彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「なにやってるんだ?」

「えっ?」




突然、低い声と怖い顔でにらまれる。

バッチリメイクでお化粧してるけどわかる。



(初代総長モードになってる・・・!)



〔★ブチ切れ寸前だ★〕



これは・・・・うかつなことは言えない。

そう判断したので、相手の出方をうかがうため、無難な言葉を発してみた。



「な、なんのことです・・・?」

「はあ?誤魔化す気か?」

「い、いえ、あの・・・」

「わかってんだろう・・・!?」



口調と表情はいつもの瑞希お兄ちゃんだけど、そう呼んでいいの?



(女装は、私には内緒じゃなかったの?)



私への今の接し方だと、隠してるそぶりは見えない。

瑞希お兄ちゃんと呼ぶべきか、呼ばないべきか・・・・迷った末に私は言った。




「ど、どちら様ですか・・・?」

「なに!?」

「だ、だから!お姉さん誰ですか!?」

「お姉さんだぁ!?」




隠しているわけだから、お姉さんと呼ぶことにした。



〔★凛は気づいてないを選択をした★〕



目を見開き、瞬きしないで私を見てる瑞希お姉さん。

好きな人の反応を見て思う。



(これ・・・知らないふり作戦失敗?)



「・・・お前・・・」

「な、なんですか?」

「・・・・・・なんでもない、わ。」



難しい顔をした後で、手を離してくれた。



「とにかく・・・知らない人について行ったらダメだからね?」

「・・・すみません。」

「私が通りかかったから、よかったけど。」



それを聞いて思う。



(瑞希お兄ちゃん、女性の振りをするんだ・・・)



演技を、続けるんですね・・・



〔★その選択をさせたのは凛だ★〕