彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




完全なお姉さんとして降臨した瑞希お兄ちゃんは、私を連れて行こうとしたおじさんに微笑みながら言った。



「困るじゃない、お兄さ~ん?私の弟、ナンパしないでよ?」

「あ、いや、あ・・・」



瑞希お兄ちゃんがウィンクすれば、おじさんはもごもごと何か言う。



「きょ、姉弟なら、よかったら一緒に~」

「い・か・な・い!ごめんねぇ~姉弟水入らずだからぁ、あなたと行動できないの♪バイバーイ!」

「ば、ばいばい・・・♪」



愛想よく瑞希お兄ちゃんが言えば、だらしない顔で手をふって見送るおじさん。

それに妖艶に笑うと、私を抱き寄せて歩き出す愛しいお方。

そのまま歩けば、すれ違う男共が騒ぎ出す。



「おい、見ろよ!」

「良い女だな~」

「あの子も『神待ち』か?」

「一緒にいるのは弟!?」

「絶対に恋人はない!ありえねぇだろう!?」



周りからそんな声が聞こえたけどそれどころじゃない。



(わわわ!どうなってるのー!?)



突然の出来事に、いっぱいいっぱいだったから。



(まさか、瑞希お兄ちゃんならぬ、お姉さんに助けられるなんて!)



いきなり現れてびっくりしたけど、嬉しい。

私のピンチを助けてくれるのは、決まって好きな人。

今日のあなたはいつもと違うけど、あなたへの愛しい気持ちは変わりません。



〔★凛の愛は本物だった★〕



(てか、なんでこんなところに瑞希お兄ちゃんが!?私達の距離、近くないですか!?お兄ちゃんから、いつもとは違う甘い香りがする~!)



瑞希お兄ちゃん・・・今はお姉ちゃんだけど、好きな人と密着して歩けることに幸せを感じる。

羨ましそうに見てくる人達に対して、超優越感!!

幸せ気分で人気のない場所まで歩いたところで、道のはしへと寄りながら瑞希お兄ちゃんが言った。