完全なお姉さんとして降臨した瑞希お兄ちゃんは、私を連れて行こうとしたおじさんに微笑みながら言った。
「困るじゃない、お兄さ~ん?私の弟、ナンパしないでよ?」
「あ、いや、あ・・・」
瑞希お兄ちゃんがウィンクすれば、おじさんはもごもごと何か言う。
「きょ、姉弟なら、よかったら一緒に~」
「い・か・な・い!ごめんねぇ~姉弟水入らずだからぁ、あなたと行動できないの♪バイバーイ!」
「ば、ばいばい・・・♪」
愛想よく瑞希お兄ちゃんが言えば、だらしない顔で手をふって見送るおじさん。
それに妖艶に笑うと、私を抱き寄せて歩き出す愛しいお方。
そのまま歩けば、すれ違う男共が騒ぎ出す。
「おい、見ろよ!」
「良い女だな~」
「あの子も『神待ち』か?」
「一緒にいるのは弟!?」
「絶対に恋人はない!ありえねぇだろう!?」
周りからそんな声が聞こえたけどそれどころじゃない。
(わわわ!どうなってるのー!?)
突然の出来事に、いっぱいいっぱいだったから。
(まさか、瑞希お兄ちゃんならぬ、お姉さんに助けられるなんて!)
いきなり現れてびっくりしたけど、嬉しい。
私のピンチを助けてくれるのは、決まって好きな人。
今日のあなたはいつもと違うけど、あなたへの愛しい気持ちは変わりません。
〔★凛の愛は本物だった★〕
(てか、なんでこんなところに瑞希お兄ちゃんが!?私達の距離、近くないですか!?お兄ちゃんから、いつもとは違う甘い香りがする~!)
瑞希お兄ちゃん・・・今はお姉ちゃんだけど、好きな人と密着して歩けることに幸せを感じる。
羨ましそうに見てくる人達に対して、超優越感!!
幸せ気分で人気のない場所まで歩いたところで、道のはしへと寄りながら瑞希お兄ちゃんが言った。


