お姉さん達にお店の外まで見送られる。
「またね、坊や。大人しく帰るのよ。」
「明るい道を通って帰るんだぞ、チョコ君?」
「はい。さようなら。」
別れの挨拶をかわして、大人しく帰る。
(・・・わけにはいかないのよね。)
速攻で、神待ちスポットへとユーターンする。
〔★凛はスタート地点に戻った★〕
広場は相変わらず、若い子達であふれかえっていた。
夜を徘徊してるのは、多分、私と変わらない子ばかり。
いや、そう見えるだけで、実は年下かもしれない。
あるいは年上だけど、若く見えてるだけかもしれない。
見た目で判断するのは難しい。
現に私は、年より若く見られている。
(どんな事情でここにいるかわからないけど・・・)
危険と隣り合わせの場所で考えた。
(まずいことになったわね・・・)
NPOさん達の話を聞き、なずなちゃんがMESSIAHのところにいる可能性が出てきた。
(やっぱり、オトリの振りをして乗りこむしかないか・・・)
はたして私に、オトリ役が出来るだろうか・・・?
―凛助なら、1人で立ってるだけで変な奴が寄ってくるだろう~!わはははは!―
と、百鬼の奴が言っていたのを思い出す。
(じゃあ、大丈夫ね。試してみよう。)
さっきだって、NPOの渡瀬さんに、家出と間違えられて声をかけられた。
泊めてくれる人を待っている少女達の群れに紛れる。
座り込んでジッとする。
声がかかるまで、1時間でも、2時間でも、時間が許す限り待つ覚悟はしていた。
(・・・今夜も徹夜だけど仕方ないわ・・・)
アスファルトの暑さを感じながら待っていた。
「ボク、1人?」
「え?」
座り込んで、10分もしなかった。
予想より早く、声をかけられて驚く。
しかも相手は、どこにでもいそうな普通のおじさん。
(これが『家出っ子の神様』?)
いやいや、そう判断するのはまだ早い。
(さっきのNPOのお兄さんの件もある。単なる補導かもしれない。)
いつでも逃げられる体勢になりながら、相手の次の言葉を待つ。


