彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




お姉さん達にお店の外まで見送られる。



「またね、坊や。大人しく帰るのよ。」

「明るい道を通って帰るんだぞ、チョコ君?」

「はい。さようなら。」



別れの挨拶をかわして、大人しく帰る。



(・・・わけにはいかないのよね。)



速攻で、神待ちスポットへとユーターンする。



〔★凛はスタート地点に戻った★〕



広場は相変わらず、若い子達であふれかえっていた。

夜を徘徊してるのは、多分、私と変わらない子ばかり。

いや、そう見えるだけで、実は年下かもしれない。

あるいは年上だけど、若く見えてるだけかもしれない。

見た目で判断するのは難しい。

現に私は、年より若く見られている。



(どんな事情でここにいるかわからないけど・・・)



危険と隣り合わせの場所で考えた。



(まずいことになったわね・・・)



NPOさん達の話を聞き、なずなちゃんがMESSIAHのところにいる可能性が出てきた。



(やっぱり、オトリの振りをして乗りこむしかないか・・・)



はたして私に、オトリ役が出来るだろうか・・・?



―凛助なら、1人で立ってるだけで変な奴が寄ってくるだろう~!わはははは!―



と、百鬼の奴が言っていたのを思い出す。



(じゃあ、大丈夫ね。試してみよう。)



さっきだって、NPOの渡瀬さんに、家出と間違えられて声をかけられた。

泊めてくれる人を待っている少女達の群れに紛れる。

座り込んでジッとする。

声がかかるまで、1時間でも、2時間でも、時間が許す限り待つ覚悟はしていた。



(・・・今夜も徹夜だけど仕方ないわ・・・)



アスファルトの暑さを感じながら待っていた。



「ボク、1人?」

「え?」



座り込んで、10分もしなかった。

予想より早く、声をかけられて驚く。

しかも相手は、どこにでもいそうな普通のおじさん。



(これが『家出っ子の神様』?)



いやいや、そう判断するのはまだ早い。



(さっきのNPOのお兄さんの件もある。単なる補導かもしれない。)



いつでも逃げられる体勢になりながら、相手の次の言葉を待つ。