彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




私のつぶやきに、渡瀬さんがうなずきながら言う。



「ホント、最低なんだよ。他にも、MESSIAHからお金をもらって悪事に加担してる奴らもいる。儲けたお金をわいろみたいにしてばらまいたりしてるからな・・・」

「そうね。警察も立ち入れない、秘密クラブってやつよ。」



(それでおじさんも、逮捕ができないの・・・?)



だから渡瀬さんも、大人の事情と言ったのね!?



(なるほど!納得はできたけど・・・。)



「なぜ、そんなに重要な話を僕にしたんですか?」

「あなたの手に負えないって、理解してほしかったのよ。MESSIAHには、関わらない方が身のためだからね。」

「瑠華お姉さん・・・」

「瑠華さんでいいわよ。それというのもJAGUARが・・・あの幡随院長政が頭をやめなければ、MESSIAHみたいな小物が力をつけなかったんだけどね。」

「あ、ちー・・・・幡随院さんが、小突いたら入院したんでしたっけ?MESSIAHのボスは?」

「そうそう。幡随院長政のパシリが今や、王様気取りで嫌になっちゃうわ!今のJAGUARの頭であるジオンさんも悪くはないんだけど・・・・みんな、幡随院さんに戻ってきてほしいみたい。」

「そ・・・そうなんですか・・・」



知らなかった現実を聞いて、気まずくなる。

そこへ、さらなる追い打ちがかかる。



「そうよ。まさか、あの幡随院さんが龍星軍の4代目の漢気に惚れて、地位も名誉もすべて捨てて、部下になり下がるなんて・・・誰が考えたやら。ジオンさん達の嫉妬も相当らしいから、4代目に暗殺されないように忠告してあげたいぐらいよ。」

「大丈夫ですよ。その忠告、伝わってますよ。」



(私がその4代目だからね。)



〔★美女の思いは届いている★〕



「ふふふ、そうだといいけどね。少し・・・しゃべりすぎたわね。チョコ君、家まで送るわ。」

「いえ・・・大丈夫です。」

「あら、遠慮しなくていいのよ?」

「そうじゃないです。迎えに来てもらえますから。」

「そう・・・。」

「お邪魔しました。ご馳走様です。」



立ち上がり、瑠華さんと渡瀬さんにそれぞれ会釈する。

そんな私に2人は言った。



「チョコ君、困ったことがあれば、すぐに連絡しておいで。これ、うちの名刺だから持って帰って。」

「そうよ。遠慮はいらないから。いつでも、お姉さん達を頼ってきてね?」

「なにからなにまで、ありがとうございました・・・。」



真面目な顔で言う男女に、私は首を縦に振るしかなかった。