私のつぶやきに、渡瀬さんがうなずきながら言う。
「ホント、最低なんだよ。他にも、MESSIAHからお金をもらって悪事に加担してる奴らもいる。儲けたお金をわいろみたいにしてばらまいたりしてるからな・・・」
「そうね。警察も立ち入れない、秘密クラブってやつよ。」
(それでおじさんも、逮捕ができないの・・・?)
だから渡瀬さんも、大人の事情と言ったのね!?
(なるほど!納得はできたけど・・・。)
「なぜ、そんなに重要な話を僕にしたんですか?」
「あなたの手に負えないって、理解してほしかったのよ。MESSIAHには、関わらない方が身のためだからね。」
「瑠華お姉さん・・・」
「瑠華さんでいいわよ。それというのもJAGUARが・・・あの幡随院長政が頭をやめなければ、MESSIAHみたいな小物が力をつけなかったんだけどね。」
「あ、ちー・・・・幡随院さんが、小突いたら入院したんでしたっけ?MESSIAHのボスは?」
「そうそう。幡随院長政のパシリが今や、王様気取りで嫌になっちゃうわ!今のJAGUARの頭であるジオンさんも悪くはないんだけど・・・・みんな、幡随院さんに戻ってきてほしいみたい。」
「そ・・・そうなんですか・・・」
知らなかった現実を聞いて、気まずくなる。
そこへ、さらなる追い打ちがかかる。
「そうよ。まさか、あの幡随院さんが龍星軍の4代目の漢気に惚れて、地位も名誉もすべて捨てて、部下になり下がるなんて・・・誰が考えたやら。ジオンさん達の嫉妬も相当らしいから、4代目に暗殺されないように忠告してあげたいぐらいよ。」
「大丈夫ですよ。その忠告、伝わってますよ。」
(私がその4代目だからね。)
〔★美女の思いは届いている★〕
「ふふふ、そうだといいけどね。少し・・・しゃべりすぎたわね。チョコ君、家まで送るわ。」
「いえ・・・大丈夫です。」
「あら、遠慮しなくていいのよ?」
「そうじゃないです。迎えに来てもらえますから。」
「そう・・・。」
「お邪魔しました。ご馳走様です。」
立ち上がり、瑠華さんと渡瀬さんにそれぞれ会釈する。
そんな私に2人は言った。
「チョコ君、困ったことがあれば、すぐに連絡しておいで。これ、うちの名刺だから持って帰って。」
「そうよ。遠慮はいらないから。いつでも、お姉さん達を頼ってきてね?」
「なにからなにまで、ありがとうございました・・・。」
真面目な顔で言う男女に、私は首を縦に振るしかなかった。


