「ダメじゃない。ウロウロしてるから補導されちゃうのよ?」
「だから、違いますって!」
「この辺りは、ホームレスもウロウロしてるからね。」
「そちらは保護しないんですか?」
「担当が違うからね・・・」
「一応、ホームレス担当のNPO団体とも仲良くはしてるけど。」
ほのぼのと掛け合いをする男女に呆れながら聞いた。
「そういえば、MESSIAHから逃げてきた子って聞きましたけど・・・そういう子がいたんですか?」
「しゃべったんですか、渡瀬学さん?」
「あ!ごめんなさーい!・・・・つい、しゃべっちゃって・・・」
ジロッとにらむ瑠華さんに、お兄さんが苦笑いする。
「その子は、助けられたんですか?」
「助かったわ。」
「じゃあ、その子に証言してもらってMESSIAHを逮捕してもらえばよかったんじゃないですか?」
「そう簡単にはいかないのよ。」
「瑠華ちゃん、よせよ。」
「知っておくべきよ。」
止める渡瀬さんを良い負かせると、強い口調で瑠華さんは言った。
「チョコ君、どうしてMESSIAHが逮捕できないかわかる?」
「捕まえるだけの証拠がないからと聞きましたが?」
「ほら、学さんのせいで誤解してる!」
「え?違うんですか?」
「MESSIAHから未成年を買う客が『悪い』のよ。」
「未成年を買う時点で『悪い』ですよ?」
「そうだけどっ!お姉さんが言いたいのは~・・・・社会的に立場がある奴らがまじってるってこと!」
「社会的に立場がある・・・?」
「医者や代議の息子とか、公務員とか芸能人を親に持つ子供が客として通ってるみたいなの。未成年を売春してるってわかったら困る人達ばっかり。」
「大人の事情って、そういうことですか!?」
(そいつらのせいで、家出っ子たちを助けられないって言うの!?)
「それこそ、パクるべきじゃないですか!?」
「だから出来ないよ!金で親がもみ消したりしてるから・・・!」
「最低ですね。」
(よそにも、渕上みたいなやつがいるのね・・・!)
〔★嫌な例えを思い出した★〕


