彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「ダメじゃない。ウロウロしてるから補導されちゃうのよ?」

「だから、違いますって!」

「この辺りは、ホームレスもウロウロしてるからね。」

「そちらは保護しないんですか?」

「担当が違うからね・・・」

「一応、ホームレス担当のNPO団体とも仲良くはしてるけど。」



ほのぼのと掛け合いをする男女に呆れながら聞いた。



「そういえば、MESSIAHから逃げてきた子って聞きましたけど・・・そういう子がいたんですか?」

「しゃべったんですか、渡瀬学さん?」

「あ!ごめんなさーい!・・・・つい、しゃべっちゃって・・・」



ジロッとにらむ瑠華さんに、お兄さんが苦笑いする。



「その子は、助けられたんですか?」

「助かったわ。」

「じゃあ、その子に証言してもらってMESSIAHを逮捕してもらえばよかったんじゃないですか?」

「そう簡単にはいかないのよ。」

「瑠華ちゃん、よせよ。」

「知っておくべきよ。」



止める渡瀬さんを良い負かせると、強い口調で瑠華さんは言った。



「チョコ君、どうしてMESSIAHが逮捕できないかわかる?」

「捕まえるだけの証拠がないからと聞きましたが?」

「ほら、学さんのせいで誤解してる!」

「え?違うんですか?」

「MESSIAHから未成年を買う客が『悪い』のよ。」

「未成年を買う時点で『悪い』ですよ?」

「そうだけどっ!お姉さんが言いたいのは~・・・・社会的に立場がある奴らがまじってるってこと!」

「社会的に立場がある・・・?」

「医者や代議の息子とか、公務員とか芸能人を親に持つ子供が客として通ってるみたいなの。未成年を売春してるってわかったら困る人達ばっかり。」

「大人の事情って、そういうことですか!?」



(そいつらのせいで、家出っ子たちを助けられないって言うの!?)



「それこそ、パクるべきじゃないですか!?」

「だから出来ないよ!金で親がもみ消したりしてるから・・・!」

「最低ですね。」



(よそにも、渕上みたいなやつがいるのね・・・!)



〔★嫌な例えを思い出した★〕