あてが外れた私に、人の良い笑みで渡瀬というお兄さんは言った。
「良い人かどうかは微妙だけど、なぜ家出をしたのか、家に帰れない理由があるのか、なにを悩んでるのかを聞いて回ってるんだよ。」
「そ・・・そうでしたか・・・!」
がっかりだ。
(悪の手先かと思ったのに、がっかりだ・・・!)
〔★凛の士気が下がった★〕
「あれ?急に元気がなくなってない?俺、なんか悪いことしたかな!?」
「いえ・・・あなたのしてることは良いことですので、おかまいなく・・・」
「そう?とりあえず、飲み終わったら家まで送るよ。いいね?」
「いえ、おかまいなく。」
「そうはいかないよ。君、中学生でしょ?」
「高校生です。」
「本当に?年はいくつなの?」
「いくつに見えます?」
「ふー・・・わからないから、身分証明書、見せてよ。」
「そうやって、泥棒する人がいるらしいので見せれません。」
「言うねー?ああ言えば、こう言うというタイプか~」
「自衛手段と言って下さい。」
〔★両者、どっちも引かない★〕
質問攻めしてくる相手をかわしながら私も尋ねる。
「あの・・・渡瀬さんは、この辺りで活動してるのですか?」
「そうだけど?」
「僕、人を探してるんです。」
「あれ?君、迷子だったの?」
「僕じゃないです!まぁ・・・世間で言うところの家出といいますか・・・」
「君とはどういう関係?友達なの?」
「お世話になってる方の同級生のお孫さんです。」
「それは複雑だね?名前と年は?」
「春野なずなちゃんと言って、14歳の中学二年生の女の子なんです。」
「顔がわかるものはある?」
「これです。」
NPOの代表に、携帯の画像を見せる。
「へえー子供携帯なんだね。」
「見るところはそこじゃないです!この子です!」
「この子・・・」
「心当たりがありますか?」
「初めて見るな・・・。でも、心配しないで。この子のことなら、俺が探してあげるから、君は家に帰りなさい。」
「そうはいきません。この子、犯罪に巻き込まれてるかもしれないです。」
「犯罪?」
「最近この辺りで、半グレの黒木がドラックをばらまいていませんか?」
「え!?」
目を見開く相手にさらに言葉を続ける。


