彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




あてが外れた私に、人の良い笑みで渡瀬というお兄さんは言った。



「良い人かどうかは微妙だけど、なぜ家出をしたのか、家に帰れない理由があるのか、なにを悩んでるのかを聞いて回ってるんだよ。」

「そ・・・そうでしたか・・・!」



がっかりだ。



(悪の手先かと思ったのに、がっかりだ・・・!)



〔★凛の士気が下がった★〕



「あれ?急に元気がなくなってない?俺、なんか悪いことしたかな!?」

「いえ・・・あなたのしてることは良いことですので、おかまいなく・・・」

「そう?とりあえず、飲み終わったら家まで送るよ。いいね?」

「いえ、おかまいなく。」

「そうはいかないよ。君、中学生でしょ?」

「高校生です。」

「本当に?年はいくつなの?」

「いくつに見えます?」

「ふー・・・わからないから、身分証明書、見せてよ。」

「そうやって、泥棒する人がいるらしいので見せれません。」

「言うねー?ああ言えば、こう言うというタイプか~」

「自衛手段と言って下さい。」



〔★両者、どっちも引かない★〕



質問攻めしてくる相手をかわしながら私も尋ねる。



「あの・・・渡瀬さんは、この辺りで活動してるのですか?」

「そうだけど?」

「僕、人を探してるんです。」

「あれ?君、迷子だったの?」

「僕じゃないです!まぁ・・・世間で言うところの家出といいますか・・・」

「君とはどういう関係?友達なの?」

「お世話になってる方の同級生のお孫さんです。」

「それは複雑だね?名前と年は?」

「春野なずなちゃんと言って、14歳の中学二年生の女の子なんです。」

「顔がわかるものはある?」

「これです。」



NPOの代表に、携帯の画像を見せる。



「へえー子供携帯なんだね。」

「見るところはそこじゃないです!この子です!」

「この子・・・」

「心当たりがありますか?」

「初めて見るな・・・。でも、心配しないで。この子のことなら、俺が探してあげるから、君は家に帰りなさい。」

「そうはいきません。この子、犯罪に巻き込まれてるかもしれないです。」

「犯罪?」

「最近この辺りで、半グレの黒木がドラックをばらまいていませんか?」

「え!?」



目を見開く相手にさらに言葉を続ける。