彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「警戒しなくていいよ。おいで。」

「・・・うん。」



相手の申し出に同意する。

周りの子が、ヒソヒソ言いながらこちらを見てる。

気になったけど、男について行った。

そこへ行くのかと思ったが・・・



「ここだよ。」


(ここ?)



案内されたのは食堂だった。



(本当に、ご飯を食べるだけなのね・・・)



「好きなのを頼んでいいよ。」



中に入って、席につけば、メニューを渡されて困る。

食べるということは・・・マスクをはずさなければいけない。

それは出来ない。



「どうしたの?決めれないかな?俺のお勧めで良い?」



そう言われ、迷って末に・・・



「これ。」



メニューを指さす。



「ジンジャーエールがいいの?他は?」

「これだけでいいです。」

「じゃあ、とりあえずジンジャーエールね?」

「必ずストローをつけてもらえれば十分です。」

「ははは!じゃあ、わかったよ。」



笑顔で了承してくれる男性。

注文が注文だったので、すぐに持ってきてくれた。

ブルーのストローがささっていた。



「飲みなさい。」

「ありがとうございます。」



お礼を言ってマスクの下から、グラスの中身を吸う。

相手は私を見ながら言った。



「こんな時間に何してんの?」

「お兄さんは?」



(家出した子を薬漬けにする悪い奴でしょ!?)


MESSIAHの仲間だってことは、わかってるんだから!



そんな思いでジッと見れば、相手はニッコリ笑う。



「怪しいものじゃないよ。こういう者です。」

「え?」



差し出されたのは名刺。



「『NPO法人夜回りグループミライ代表取締役・渡瀬学(わたせまなぶ)』・・・?」

「そう。俺ね、君みたいな家出っぽい子に声をかけてるんだよ。」

「え!?良い人!?」



〔★悪い人じゃなかった★〕