下駄箱に残された私は、何とも言えない気持ちになる。
(有森さん、私をはげましてくれたのかな・・・?)
不謹慎だと思ったけど、彼女は明るく振るまっただけ。
私が、落ち込まないように気を遣ってくれていた。
最後まで、気にしちゃダメだと言い続けてくれた。
気にするなと言ってくれたけど・・・
(・・・・・責任は感じるよ。)
私は、ちーちゃんから確信をもらっていた。
わが身可愛さに、ヤマトに匿名で通報させた。
その通報を警察が信じてくれたかは、わからない。
だけど、刑事が私に会いに来たということは、坂口さんを救えなかったということ。
(私が、菅原凛としてすぐに相談するべきだったんだ・・・)
ふと、音がしたので振り返る。
見れば、刑事さん達も帰るところだった。
学長先生は彼らを見送るため、その後に続いた。
私の視線に気づいたのか、年配の刑事がこちらを見た。
会釈で返したら、彼らも同じように返事をして通り過ぎていく。
(あとは、警察に任せるしかないのね・・・)
と、菅原凛なら思うだろう。
(じゃあ、菅原凛じゃなければ?)
もう1人の私なら?
(『凛道蓮』ならどうする?)
凛道蓮が出会ってきた警察を思い浮かべる。
(うん!任せらんねぇな!!)
結論はすぐに出た。
バラさんの強引な逮捕手段だったり、瑞希お兄ちゃんのストーカー事件だったり、民事不介入だったり・・・規則に縛ら江れがちな公務員よりも、フリーダムなヤンキーが動いた方が良い気がした。
幸い、心当たりもある。
(坂口さんが持ってた薬が、MESSIAHの薬と同じなら、どこかで遭遇できるはず。)
なずなちゃんを探して、MESSIAHを倒すついでに、坂口さんも見つけられそうなら見つけてみよう!
(龍星軍4代目総長である僕が、凛道蓮が動くしかないでしょう?)
その思いで靴を履き替える。
寝ようと思っていた予定を変更した。
〔★人生は計画通りにはいかない★〕


