彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




下駄箱に残された私は、何とも言えない気持ちになる。



(有森さん、私をはげましてくれたのかな・・・?)



不謹慎だと思ったけど、彼女は明るく振るまっただけ。

私が、落ち込まないように気を遣ってくれていた。

最後まで、気にしちゃダメだと言い続けてくれた。

気にするなと言ってくれたけど・・・



(・・・・・責任は感じるよ。)



私は、ちーちゃんから確信をもらっていた。

わが身可愛さに、ヤマトに匿名で通報させた。

その通報を警察が信じてくれたかは、わからない。

だけど、刑事が私に会いに来たということは、坂口さんを救えなかったということ。



(私が、菅原凛としてすぐに相談するべきだったんだ・・・)



ふと、音がしたので振り返る。

見れば、刑事さん達も帰るところだった。

学長先生は彼らを見送るため、その後に続いた。

私の視線に気づいたのか、年配の刑事がこちらを見た。

会釈で返したら、彼らも同じように返事をして通り過ぎていく。




(あとは、警察に任せるしかないのね・・・)



と、菅原凛なら思うだろう。



(じゃあ、菅原凛じゃなければ?)



もう1人の私なら?



(『凛道蓮』ならどうする?)



凛道蓮が出会ってきた警察を思い浮かべる。



(うん!任せらんねぇな!!)



結論はすぐに出た。

バラさんの強引な逮捕手段だったり、瑞希お兄ちゃんのストーカー事件だったり、民事不介入だったり・・・規則に縛ら江れがちな公務員よりも、フリーダムなヤンキーが動いた方が良い気がした。

幸い、心当たりもある。



(坂口さんが持ってた薬が、MESSIAHの薬と同じなら、どこかで遭遇できるはず。)



なずなちゃんを探して、MESSIAHを倒すついでに、坂口さんも見つけられそうなら見つけてみよう!



(龍星軍4代目総長である僕が、凛道蓮が動くしかないでしょう?)



その思いで靴を履き替える。

寝ようと思っていた予定を変更した。



〔★人生は計画通りにはいかない★〕