彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「坂口さんが、私達に飲ませようとした薬・・・・・・危険な薬だったんですか?」

「私達は、現物を見てないからわからないな。」



私の問いに、年配の刑事は冷静に即答した。

あまりにもあっさりと返され、拍子抜けしてしまう。

そんな私に、ベテラン刑事は鋭く突っ込んできた。



「菅原さんは、なぜ危険な薬だと思ったんですか?」



形勢逆転で、今度は私が聞かれる番。

パニックになりそうになるのを、抑えながら答えた。



「あ・・・それは、だって・・・成分表示がなかったので・・・タダより怖いものはないと、上手い話はないと・・・」



言葉を詰まらせながらも、なんとか会話にした。



(もっと上手に切り返そうよ、私!!)



凛道蓮ならできるのになー



(・・・刑事さんも呆れてるよね?)



「君の判断は、正しいと思うよ。」

「え?」



思わず相手を見れば、真面目な顔で私を見る山本さんがいた。



「その直感が、身を守ることがある。」



そう語る年配の刑事は、少し悲しそうな目だった。



「もし、坂口さんから連絡があったら教えて下さい、菅原さん、有森さん。それから、今日話したことは、他の人には言わないようにね?」

「はい・・・わかりました。」

「言いません。」

「ありがとう。2人共。それでは、塾長・・・」

「え、ええ。菅原さん、有森さん、もう帰って結構ですよ。赤井先生、2人をお願いします。」

「わかりました!菅原さん、有森さん、帰ろう!」

「はい、失礼しました。」

「失礼します!」



刑事2人と塾長先生にお辞儀をしながら、赤井先生と共に面談室から出た。