「坂口さんが、私達に飲ませようとした薬・・・・・・危険な薬だったんですか?」
「私達は、現物を見てないからわからないな。」
私の問いに、年配の刑事は冷静に即答した。
あまりにもあっさりと返され、拍子抜けしてしまう。
そんな私に、ベテラン刑事は鋭く突っ込んできた。
「菅原さんは、なぜ危険な薬だと思ったんですか?」
形勢逆転で、今度は私が聞かれる番。
パニックになりそうになるのを、抑えながら答えた。
「あ・・・それは、だって・・・成分表示がなかったので・・・タダより怖いものはないと、上手い話はないと・・・」
言葉を詰まらせながらも、なんとか会話にした。
(もっと上手に切り返そうよ、私!!)
凛道蓮ならできるのになー
(・・・刑事さんも呆れてるよね?)
「君の判断は、正しいと思うよ。」
「え?」
思わず相手を見れば、真面目な顔で私を見る山本さんがいた。
「その直感が、身を守ることがある。」
そう語る年配の刑事は、少し悲しそうな目だった。
「もし、坂口さんから連絡があったら教えて下さい、菅原さん、有森さん。それから、今日話したことは、他の人には言わないようにね?」
「はい・・・わかりました。」
「言いません。」
「ありがとう。2人共。それでは、塾長・・・」
「え、ええ。菅原さん、有森さん、もう帰って結構ですよ。赤井先生、2人をお願いします。」
「わかりました!菅原さん、有森さん、帰ろう!」
「はい、失礼しました。」
「失礼します!」
刑事2人と塾長先生にお辞儀をしながら、赤井先生と共に面談室から出た。


