「有森さんも菅原さんみたいに、坂口さんからサプリメントの話を聞いたことはある?」
「あります。私も勧められたんですけど、その場で断りました。」
「そうなの?他に、声をかけらえていた子はいる?菅原さんも知ってるかな?」
「知らないです・・・。」
「私、知ってます。」
「じゃあ、教えてもらえるかな?」
「はい!」
ハキハキと話す有森さんと、熱心に耳を傾ける警官達。
私達のやり取りを、見聞きしている塾長先生の顔は青い。
出入り口に立っている赤井先生も同様だった。
その後、有森さんと刑事2人のやり取りを最後に事情聴取は終わった。
「菅原さん、有森さん、ご協力ありがとうございました。もしかしたら、また話を聞かせてもらうかもしれないけどいいかな?」
「もちろんです!」
「・・・かまいませんが・・・」
協力的な有森さんに対して、私は言葉に詰まる。
「どうしたの、菅原さん?」
私の態度が気になったのか、山本さんが聞いてくる。
「なにか気になることでもあるのかな?」
(気になること・・・・)
凛道蓮をする以上、菅原凛は目立つことをしちゃダメ。
印象に残ることもしちゃダメ。
その他大勢の中の1人でいなきゃダメ。
何がきっかけで、凛道蓮だとばれるかわからないのに――――
「あれは、本当にサプリメントなんですか?」
聞いてしまった。
瑞希お兄ちゃんもちーちゃんもそうだと言っているから間違いない。
警察はサプリメントに関して、私達に聞いてくるだけで、自分達からは何も言わない。
危険薬物だと知らないのだろうか?
あるいは、捜査情報を一般人に言えないだけ?
(警察は、どこまで薬のことを知っているの―――――――――!?)
そんな思いで、聞いてしまった。


