彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「有森さんも菅原さんみたいに、坂口さんからサプリメントの話を聞いたことはある?」

「あります。私も勧められたんですけど、その場で断りました。」

「そうなの?他に、声をかけらえていた子はいる?菅原さんも知ってるかな?」

「知らないです・・・。」

「私、知ってます。」

「じゃあ、教えてもらえるかな?」

「はい!」



ハキハキと話す有森さんと、熱心に耳を傾ける警官達。

私達のやり取りを、見聞きしている塾長先生の顔は青い。

出入り口に立っている赤井先生も同様だった。

その後、有森さんと刑事2人のやり取りを最後に事情聴取は終わった。



「菅原さん、有森さん、ご協力ありがとうございました。もしかしたら、また話を聞かせてもらうかもしれないけどいいかな?」

「もちろんです!」

「・・・かまいませんが・・・」



協力的な有森さんに対して、私は言葉に詰まる。



「どうしたの、菅原さん?」



私の態度が気になったのか、山本さんが聞いてくる。



「なにか気になることでもあるのかな?」



(気になること・・・・)



凛道蓮をする以上、菅原凛は目立つことをしちゃダメ。

印象に残ることもしちゃダメ。

その他大勢の中の1人でいなきゃダメ。

何がきっかけで、凛道蓮だとばれるかわからないのに――――





「あれは、本当にサプリメントなんですか?」





聞いてしまった。

瑞希お兄ちゃんもちーちゃんもそうだと言っているから間違いない。

警察はサプリメントに関して、私達に聞いてくるだけで、自分達からは何も言わない。

危険薬物だと知らないのだろうか?

あるいは、捜査情報を一般人に言えないだけ?



(警察は、どこまで薬のことを知っているの―――――――――!?)



そんな思いで、聞いてしまった。