モヤモヤする私の前で話は進む。
「有森さん、最後に坂口を見た時のこと、教えてくれるかな?」
「最後に見たのは・・・スマホとお財布を持ったまま、塾から出て行くところでした。」
「何時ごろでした?」
「12時3分ぐらいです。」
「菅原さん。」
「は、はい!」
年配の警官に名前を呼ばれ、声がうわずったのがわかった。
凛道蓮の時みたいに、何故堂々と出来ないのかと自分を責める。
しかし相手は、特に気に留めることもなく聞いてきた。
「君は、坂口さんがいなくなった日の朝、彼女と言い争ってたそうだね?」
「そ、それは・・・」
「目撃者した人も多いんだ。話してくれるよね?」
「何で言い争ったのかな?」
山本さんばかりか、部下の杉下さんまで聞いてくる。
(どうしよう・・・疑われてる。)
2時間ドラマなら、間違いなく容疑者候補だもんね。
(これは・・・言うべきなの?言わないべきなの?)
一瞬、迷ったけど・・・・
(隠して良いことはないし、それで凛道蓮だとバレるはずはない・・・。)
なによりも、人が1人いなくなったことが問題だったから・・・
「・・・・勉強に集中できるというサプリメントを返したんです。」
しゃべった。
(内緒もくそったれもあるものか。)
〔★凛は約束を破った★〕
気を落ち着かせながら、『何も知らない菅原凛』として話した。
私の話に、早速警察が食いついてきた。
「サプリメント?」
「そうです。『飲めば、成績が上がる』と言われたんですけど・・・怪しくて、飲む気になれないから返したんです。」
「彼女には返せたの?」
「はい。私が返すことに対して、激しく抵抗されましたが・・・坂口さんが、『自分が飲んだことにするから』とか言われまして・・・」
それで刑事達の目の色が変わる。


