彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




モヤモヤする私の前で話は進む。



「有森さん、最後に坂口を見た時のこと、教えてくれるかな?」

「最後に見たのは・・・スマホとお財布を持ったまま、塾から出て行くところでした。」

「何時ごろでした?」

「12時3分ぐらいです。」

「菅原さん。」

「は、はい!」



年配の警官に名前を呼ばれ、声がうわずったのがわかった。

凛道蓮の時みたいに、何故堂々と出来ないのかと自分を責める。

しかし相手は、特に気に留めることもなく聞いてきた。



「君は、坂口さんがいなくなった日の朝、彼女と言い争ってたそうだね?」

「そ、それは・・・」

「目撃者した人も多いんだ。話してくれるよね?」

「何で言い争ったのかな?」



山本さんばかりか、部下の杉下さんまで聞いてくる。



(どうしよう・・・疑われてる。)



2時間ドラマなら、間違いなく容疑者候補だもんね。



(これは・・・言うべきなの?言わないべきなの?)



一瞬、迷ったけど・・・・



(隠して良いことはないし、それで凛道蓮だとバレるはずはない・・・。)



なによりも、人が1人いなくなったことが問題だったから・・・



「・・・・勉強に集中できるというサプリメントを返したんです。」



しゃべった。



(内緒もくそったれもあるものか。)



〔★凛は約束を破った★〕



気を落ち着かせながら、『何も知らない菅原凛』として話した。

私の話に、早速警察が食いついてきた。



「サプリメント?」

「そうです。『飲めば、成績が上がる』と言われたんですけど・・・怪しくて、飲む気になれないから返したんです。」

「彼女には返せたの?」

「はい。私が返すことに対して、激しく抵抗されましたが・・・坂口さんが、『自分が飲んだことにするから』とか言われまして・・・」



それで刑事達の目の色が変わる。