本日最初のお客さんに失望する。
救いどころか、トラブルの予感しかない言葉。
それは、後に続く相手の言葉によって確信に変わった。
「私、川原といいます!大原会長が、ここなら助けてくれるって言うので!」
「会長さんがですか?」
「はい!パトロール中のことなら、助けてくれるって!」
「すみません、本日の活動は終了したんですが?」
「じゃあ、延長でお願いします!助けて下さい!」
「カラオケボックスと一緒にしないでいただけますか!?」
〔★しかも、料金は発生しない★〕
「お願いします!うちの息子も、たかしも、同じパトロールのボランティアをしてるんです!今日もその活動をしていたんですが、そこへあの人達がやってきて!」
「獅子島さん・・・」
「話だけでも聞いてやれ。」
食い下がる母親を、特に気にするでもなく、本へと視線を移しながら言う眼鏡の先輩。
いつもの調子で本を読み始めたことで、獅子島さんは関わる気がゼロなのだと感じた。
〔★無関心な態度だ★〕
獅子島さんの様子を見て、母親がさらに取り乱す。
「ちょっと、聞いてますか、凛道さん!?」
「あの、彼は凛道蓮ではないですよ?」
「じゃあどこですか!?彼なら鮮やかに解決すると言われたんです!」
「鮮やかかどうかはわかりませんが・・・僕が凛道蓮です。」
「え!?あなたが!?子供じゃないの!?」
「子供ですよ。」
名乗った瞬間、あからさまにガッカリする川原さん。
嫌な顔と声で言ってきた。
「嘘でしょう!?なんで、大原会長はこの子が頼もしいと言ったの!?でも、贅沢は言ってられない・・・!あの、お願いします!助けてもらえます?」
「えーと、なにごとですか?」
気になる発言をされたけど聞いてみる。
私の問いに母親は言った。
「息子が!息子が借金の連帯保証人になってしまって!」
(・・・借金の連帯保証人・・・)
学校で習った最悪の肩書。
「獅子島さん・・・」
「俺を見るな。」
不法投棄や落書き、騒音など、町内全体が迷惑することならともかく・・・
「借金の連帯保証人ですか?」
「はい!」
(パトロールのボランティアが、どうにかできるレベルじゃないでしょう・・・?)
〔★個人の問題だった★〕


