彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




本日最初のお客さんに失望する。

救いどころか、トラブルの予感しかない言葉。

それは、後に続く相手の言葉によって確信に変わった。



「私、川原といいます!大原会長が、ここなら助けてくれるって言うので!」

「会長さんがですか?」

「はい!パトロール中のことなら、助けてくれるって!」

「すみません、本日の活動は終了したんですが?」

「じゃあ、延長でお願いします!助けて下さい!」

「カラオケボックスと一緒にしないでいただけますか!?」



〔★しかも、料金は発生しない★〕



「お願いします!うちの息子も、たかしも、同じパトロールのボランティアをしてるんです!今日もその活動をしていたんですが、そこへあの人達がやってきて!」

「獅子島さん・・・」

「話だけでも聞いてやれ。」



食い下がる母親を、特に気にするでもなく、本へと視線を移しながら言う眼鏡の先輩。

いつもの調子で本を読み始めたことで、獅子島さんは関わる気がゼロなのだと感じた。



〔★無関心な態度だ★〕



獅子島さんの様子を見て、母親がさらに取り乱す。



「ちょっと、聞いてますか、凛道さん!?」

「あの、彼は凛道蓮ではないですよ?」

「じゃあどこですか!?彼なら鮮やかに解決すると言われたんです!」

「鮮やかかどうかはわかりませんが・・・僕が凛道蓮です。」

「え!?あなたが!?子供じゃないの!?」

「子供ですよ。」



名乗った瞬間、あからさまにガッカリする川原さん。

嫌な顔と声で言ってきた。



「嘘でしょう!?なんで、大原会長はこの子が頼もしいと言ったの!?でも、贅沢は言ってられない・・・!あの、お願いします!助けてもらえます?」

「えーと、なにごとですか?」



気になる発言をされたけど聞いてみる。

私の問いに母親は言った。



「息子が!息子が借金の連帯保証人になってしまって!」



(・・・借金の連帯保証人・・・)



学校で習った最悪の肩書。



「獅子島さん・・・」

「俺を見るな。」



不法投棄や落書き、騒音など、町内全体が迷惑することならともかく・・・



「借金の連帯保証人ですか?」

「はい!」



(パトロールのボランティアが、どうにかできるレベルじゃないでしょう・・・?)



〔★個人の問題だった★〕