彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「僕はただ、お兄ちゃんの負担を軽くしたかっただけなのに~」

「その気づかいでつかれる場合もあるんだ、馬鹿者。」

「よせよ!凛の気持ちは伝わってるから。」



引っ張られたほっぺを、プ二プ二しながら言ってくれる瑞希お兄ちゃん。



(癒される~♪)



瑞希お兄ちゃんの指がほっぺに触れるたびにドキドキが止まらない。

獅子島さんのみけんのしわが増えていても気にならない。



「瑞希、買い出しはいいのか?」

「あ、そうだった!」



獅子島さんの言葉で、瑞希お兄ちゃんの指が私から離れる。

代わりに、私の頭をなでてから彼は言った。



「じゃあ、凛。行ってくるから留守番頼むぞ?」

「はい、お兄ちゃん!」

「15分ぐらいで帰るからな?開店まで時間はあるけど、もし客が来たら~」

「事情を説明して対応します!」

「頼むぜ。伊織も任せた。」

「さっさと行け。」

「おう。行ってくる。」

「いってらっしゃーい!」



軽く手をふり、裏口から出て行く好きな人。

それを見送った後で気づく。



あれ・・・?もしかして私・・・



(獅子島さんと2人だけ・・・?)



チラッと相手を見れば、カウンターの椅子に腰かけ、ハードカバーの本を手に、私を見ている先輩がいた。



「・・・。」

「・・・。」



獅子島さんと・・・2人きりになってしまった。



〔★会話にならない★〕



正直、慣れてはきたけど、得意な先輩じゃないので戸惑う。



(前に2人きりになった時は、大学に行ったり、勉強を教えてもらったり、カーチェイスをして間がもてたけど・・・!)



どうしよう!

夏休みの宿題は終わってる!

てか、菅原凛の宿題だから、持ってくることはないけどさ!



〔★凛は混乱している★〕