「・・・・モニカちゃん・・・・」
「『すまない』だって。」
「え?」
「連行された男の最後の言葉よ。」
私の肩を抱きながら、呆れたようにモニカちゃんが言う。
「東南アジアの言葉だから、わからなかったでしょう?最後にそう言ったのよ。」
「そうでしたか・・・」
謝ってくれたということは、もうしないって反省してくれたことかな?
「募金詐欺、やめてくれてるといいですけど。」
「どうかしら。楽を覚えた奴ほど、学習能力ないからね~」
「モニカちゃん!」
「おほほほ!怒っちゃやーよ♪凛ちゃんの優しさが、伝わるといいわね。」
私が何か言う前に、オネェさんが私を抱きしめる。
「とにかく、上出来よ凛ちゃん!見事な撃退だったわ!」
「もしかして・・・モニカちゃんが言ってた困ったちゃんは・・・」
「あいつらよ!最近ちまたを騒がせてる『募金詐欺』なの!」
「『募金詐欺』、ですか?」
「そうよ!今じゃ日本全国で行われてる犯罪なの!日本人がするよりも、外人がした方が成功しやすいってことで流行ってる!」
「流行ってほしくないですね。」
〔★嫌なブームだ★〕
がっかりする私に、オネェさんはさらに語る。
「今のは男女だったけど、だいたいが女性なのよね~外国人の場合だと、若くて見た目の良い女性がグループやペアでしてるわけ!最近は男も増えてきてるけど、女性が占める割合がまだまだ多いわね!」
「確かに・・・女性だと油断しますよね・・・」
「ところで凛ちゃ~ん、気づいたかしら?ノートに書かれた名前と金額を見て、おかしいなぁ~って思わなかった?」
「あ・・・書いてる人が、同じような気がしたんですが・・・」
「ピンポーン♪大正解♪あれはね、最初から募金を頼んでる人が書いてるのよ!」
「え!?募金する人が書いたんじゃないんですか!?」
「ハズレ~♪それだと、お金が集まらないじゃない?」
「どういうことです?」
意味がわからなくて聞けば、オネェさんは種明かしをしてくれた。


