彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「・・・・モニカちゃん・・・・」

「『すまない』だって。」

「え?」

「連行された男の最後の言葉よ。」



私の肩を抱きながら、呆れたようにモニカちゃんが言う。



「東南アジアの言葉だから、わからなかったでしょう?最後にそう言ったのよ。」

「そうでしたか・・・」



謝ってくれたということは、もうしないって反省してくれたことかな?



「募金詐欺、やめてくれてるといいですけど。」

「どうかしら。楽を覚えた奴ほど、学習能力ないからね~」

「モニカちゃん!」

「おほほほ!怒っちゃやーよ♪凛ちゃんの優しさが、伝わるといいわね。」



私が何か言う前に、オネェさんが私を抱きしめる。



「とにかく、上出来よ凛ちゃん!見事な撃退だったわ!」

「もしかして・・・モニカちゃんが言ってた困ったちゃんは・・・」

「あいつらよ!最近ちまたを騒がせてる『募金詐欺』なの!」

「『募金詐欺』、ですか?」

「そうよ!今じゃ日本全国で行われてる犯罪なの!日本人がするよりも、外人がした方が成功しやすいってことで流行ってる!」

「流行ってほしくないですね。」



〔★嫌なブームだ★〕



がっかりする私に、オネェさんはさらに語る。



「今のは男女だったけど、だいたいが女性なのよね~外国人の場合だと、若くて見た目の良い女性がグループやペアでしてるわけ!最近は男も増えてきてるけど、女性が占める割合がまだまだ多いわね!」

「確かに・・・女性だと油断しますよね・・・」

「ところで凛ちゃ~ん、気づいたかしら?ノートに書かれた名前と金額を見て、おかしいなぁ~って思わなかった?」

「あ・・・書いてる人が、同じような気がしたんですが・・・」

「ピンポーン♪大正解♪あれはね、最初から募金を頼んでる人が書いてるのよ!」

「え!?募金する人が書いたんじゃないんですか!?」

「ハズレ~♪それだと、お金が集まらないじゃない?」

「どういうことです?」



意味がわからなくて聞けば、オネェさんは種明かしをしてくれた。