「『普通にしゃべれる日本語を、わざと片言でしゃべっていたこと』も『道路使用許可証を許可書のようにして見せたこと』も『高額な募金をしなければいけない状況に追い込んだこと』も悪質だしね。」
「なんだと!?」
「坊やを見ながら答えてちょうだい!あんた達~ちゃんと、集めたお金を募金するんでしょうね~?あんた達の所属してる団体名は?ちゃんとユニセフあたりに募金する手続きはするの?」
「っ!?す、するに決まってるだろう!?」
「じゃあ、お話は早いわねぇ~!みんなきてぇ~!!」
声高らかにモニカちゃんが言うと、私達の周囲を人影が囲む。
「な、何だお前ら!?」
「なによぉ!?なによぉ、なによぉー!?」
(い、いつの間に!?)
世代はバラバラだけど、どう見ても日本人じゃない男女達がいた。
2人組の男女と同じお国の人らしい人達が立っていた。
しかも、全員怖い顔で。
「モニカちゃん、こちらの皆さんは・・・?」
「おほほほほ!こちら、正式で、まっとうな募金活動をしているユニセフの皆さんでーす!」
「え!?ユニセフの人!?」
それで男女の顔色が変わる。
明らかにヤバい、しまったという表情をしている。
「最近ね~この辺りで募金詐欺がしつこいってクレームが出てるからぁ~お友達のユニセフさんをお呼びしたのよぉ~ん!」
「テメーよくも!!」
男が身をねじってモニカちゃんから離れる。
しかし、モニカちゃんの手が離れるのと入れ替わり体格の良い2人の男性が募金していた男を抑えた。
「‘+*<*#$%&!!」
「&%$#$#%$#%&%!!」
そして、彼らの母国語らしい声で激しく怒り始めた。
「詐欺って・・・この人達が?」
そうつぶやけば、女性と目が合う。
同情を誘うような顔で何か言いかけるが・・・
「僕に見せた許可書・・・偽装した物だったの?」
先に私がしゃべった。
「ノー!!!違う!違うわ!」
それに体を横に振りながら女は否定する。
「あれは本物!嘘じゃないわ!」
「そうよん!あれは正真正銘、警察が発行した『道路使用許可証』よ、凛ちゃん♪」
「『道路使用許可証』・・・?」
聞き返せば、満面の笑みでモニカちゃんが語る。


