彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「『普通にしゃべれる日本語を、わざと片言でしゃべっていたこと』も『道路使用許可証を許可書のようにして見せたこと』も『高額な募金をしなければいけない状況に追い込んだこと』も悪質だしね。」

「なんだと!?」

「坊やを見ながら答えてちょうだい!あんた達~ちゃんと、集めたお金を募金するんでしょうね~?あんた達の所属してる団体名は?ちゃんとユニセフあたりに募金する手続きはするの?」

「っ!?す、するに決まってるだろう!?」

「じゃあ、お話は早いわねぇ~!みんなきてぇ~!!」



声高らかにモニカちゃんが言うと、私達の周囲を人影が囲む。



「な、何だお前ら!?」

「なによぉ!?なによぉ、なによぉー!?」



(い、いつの間に!?)



世代はバラバラだけど、どう見ても日本人じゃない男女達がいた。

2人組の男女と同じお国の人らしい人達が立っていた。

しかも、全員怖い顔で。



「モニカちゃん、こちらの皆さんは・・・?」

「おほほほほ!こちら、正式で、まっとうな募金活動をしているユニセフの皆さんでーす!」

「え!?ユニセフの人!?」



それで男女の顔色が変わる。

明らかにヤバい、しまったという表情をしている。



「最近ね~この辺りで募金詐欺がしつこいってクレームが出てるからぁ~お友達のユニセフさんをお呼びしたのよぉ~ん!」

「テメーよくも!!」



男が身をねじってモニカちゃんから離れる。

しかし、モニカちゃんの手が離れるのと入れ替わり体格の良い2人の男性が募金していた男を抑えた。



「‘+*<*#$%&!!」

「&%$#$#%$#%&%!!」



そして、彼らの母国語らしい声で激しく怒り始めた。



「詐欺って・・・この人達が?」



そうつぶやけば、女性と目が合う。

同情を誘うような顔で何か言いかけるが・・・



「僕に見せた許可書・・・偽装した物だったの?」



先に私がしゃべった。



「ノー!!!違う!違うわ!」



それに体を横に振りながら女は否定する。




「あれは本物!嘘じゃないわ!」

「そうよん!あれは正真正銘、警察が発行した『道路使用許可証』よ、凛ちゃん♪」

「『道路使用許可証』・・・?」



聞き返せば、満面の笑みでモニカちゃんが語る。