「凛助ぇ!におうぞ・・・!」
「はいはい、生ごみを片付けてますからね。手袋持ってきてよかったですよ。」
「そうじゃねぇ!ちょっと隠れろ!」
「わっ!?」
そう言うなり、私をつかんで地面に伏せる百鬼。
なんでもないただの地面に伏せただけ。
「隠れないんですか!?」
「暗いから、こうしてる方がばれにくいんだぜ~!?静かにしてろっ!」
あなたもね、と言いたかったけど黙った。
私達が黙ったことで静かになる。
熱いコンクリートでうつぶせのままじっとする。
すると、地面から振動が、耳にはある音が伝わってくる。
「これ・・・車の・・・?」
「凛助ぇ~!これ使え!」
渡されたのはビデオカメラ。
暗闇の中で使えるタイプのものだった。
「百鬼さん、これ・・・!?」
「凛助は黙って撮ってろよぉ~!?写り込むなよぉ~!?わはははは!」
そう言って録画ボタンを押す。
それで前回の瑞希お兄ちゃんのしたことを思い出す。
証拠を撮る気なんだ。
(写り込むなというのは、私のことを思ってのこと・・・?)
慣れない親切に戸惑ったけど、素早くビデオカメラを回した。
そこへ、1台の軽トラがやってきて、私達の近くで止まる。
エンジンをかけたまま人が下りてきたので、そちらにピントを合わせた。
「早くしろよ。」
「押すな。」
そう言いながら、荷台にある洗濯機を下ろし始める。
私達に気づいてないのか、テレビや炊飯ジャーなども空き地に置いて行く。
(車のナンバーはとれた。捨ててる人は全部で3人・・・それぞれ顔をアップにして・・・うん、キレイに写せてる。)
リサイクル品だけでなく、日常生活で出るごみまで捨ている。
悪質だと思って画面をにらんでいたら。
「あ?」
(え?)
画面の中の人と目が合う。
「あ、ああああああああああうおわぁー!?」
私の存在に気づいた運転席の男が叫ぶ。
「ど、どうし・・・ぎゃあああ!?お化け!?」
「ち、ちがああおおおお!?し、死体か!?」
他の仲間達もつられて叫ぶ。
(死体って・・・・私のこと?)
マネキンならまだしも、勝手に殺さないでよ。
〔★まだ生きている★〕


