彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「凛助ぇ!におうぞ・・・!」

「はいはい、生ごみを片付けてますからね。手袋持ってきてよかったですよ。」

「そうじゃねぇ!ちょっと隠れろ!」

「わっ!?」



そう言うなり、私をつかんで地面に伏せる百鬼。

なんでもないただの地面に伏せただけ。



「隠れないんですか!?」

「暗いから、こうしてる方がばれにくいんだぜ~!?静かにしてろっ!」



あなたもね、と言いたかったけど黙った。

私達が黙ったことで静かになる。

熱いコンクリートでうつぶせのままじっとする。

すると、地面から振動が、耳にはある音が伝わってくる。



「これ・・・車の・・・?」

「凛助ぇ~!これ使え!」



渡されたのはビデオカメラ。

暗闇の中で使えるタイプのものだった。



「百鬼さん、これ・・・!?」

「凛助は黙って撮ってろよぉ~!?写り込むなよぉ~!?わはははは!」



そう言って録画ボタンを押す。

それで前回の瑞希お兄ちゃんのしたことを思い出す。

証拠を撮る気なんだ。



(写り込むなというのは、私のことを思ってのこと・・・?)



慣れない親切に戸惑ったけど、素早くビデオカメラを回した。

そこへ、1台の軽トラがやってきて、私達の近くで止まる。

エンジンをかけたまま人が下りてきたので、そちらにピントを合わせた。



「早くしろよ。」

「押すな。」



そう言いながら、荷台にある洗濯機を下ろし始める。

私達に気づいてないのか、テレビや炊飯ジャーなども空き地に置いて行く。



(車のナンバーはとれた。捨ててる人は全部で3人・・・それぞれ顔をアップにして・・・うん、キレイに写せてる。)



リサイクル品だけでなく、日常生活で出るごみまで捨ている。

悪質だと思って画面をにらんでいたら。



「あ?」

(え?)



画面の中の人と目が合う。



「あ、ああああああああああうおわぁー!?」



私の存在に気づいた運転席の男が叫ぶ。



「ど、どうし・・・ぎゃあああ!?お化け!?」

「ち、ちがああおおおお!?し、死体か!?」



他の仲間達もつられて叫ぶ。



(死体って・・・・私のこと?)


マネキンならまだしも、勝手に殺さないでよ。



〔★まだ生きている★〕