彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「大丈夫でしょうか、あのお姉さん?」

「ああ。あとは警察の仕事だ。それよりも、凛。」



私の肩を抱きながら瑞希お兄ちゃんは言った。



「よくもスラスラと、あんなセリフが言えたもんだな?」

「あんなセリフ?」

「笑顔がお礼って、セ・リ・フ・だ!」

「だって、これ以上お菓子をもらったら悪いじゃないですか?」

「お前な・・・」



呆れたような顔をした後で瑞希お兄ちゃんが笑う。



「そういうところが、天然たらしなんだよ・・・・。凛らしいけどな。」

「は?何のことですか?」

「あのお姉さん、凛に胸キュンしてたぞ~?」

「からかわないでくださいよ。」

「天然め。」



肩に回された腕で、グイッと抱き寄せられる。

触れ合う互いの髪の感触にドキドキする。



(どっちが天然ですか・・・)



こんなに自然なボディータッチする方が、天然小悪魔じゃないですか?

犯人を捕まえて、気持ちがハイになっていたこともあって、瑞希お兄ちゃんの腰へと腕を回す。

本当は肩に回したかったけど、背が届かなかったので腰にしたのだが・・・



「あんだよ?疲れたんか、凛?」



彼は怒ることなく、優しく私をのぞき込んできた。

その顔を見ていたら、どうでもよくなってしまった。



「のど乾きました。」

「じゃあ、コンビニでジュースでも飲んで帰るか?」

「うん!」



そう言いかわして、身を寄せ合って夜道を走った。

私のパトロール初日は、ストーカーを捕まえ、瑞希お兄ちゃんと乾杯して終わった。

後日、ストーカーはちゃんと逮捕され、事件は解決したと教えてもらった。



〔★共同作業は成功した★〕