「大丈夫でしょうか、あのお姉さん?」
「ああ。あとは警察の仕事だ。それよりも、凛。」
私の肩を抱きながら瑞希お兄ちゃんは言った。
「よくもスラスラと、あんなセリフが言えたもんだな?」
「あんなセリフ?」
「笑顔がお礼って、セ・リ・フ・だ!」
「だって、これ以上お菓子をもらったら悪いじゃないですか?」
「お前な・・・」
呆れたような顔をした後で瑞希お兄ちゃんが笑う。
「そういうところが、天然たらしなんだよ・・・・。凛らしいけどな。」
「は?何のことですか?」
「あのお姉さん、凛に胸キュンしてたぞ~?」
「からかわないでくださいよ。」
「天然め。」
肩に回された腕で、グイッと抱き寄せられる。
触れ合う互いの髪の感触にドキドキする。
(どっちが天然ですか・・・)
こんなに自然なボディータッチする方が、天然小悪魔じゃないですか?
犯人を捕まえて、気持ちがハイになっていたこともあって、瑞希お兄ちゃんの腰へと腕を回す。
本当は肩に回したかったけど、背が届かなかったので腰にしたのだが・・・
「あんだよ?疲れたんか、凛?」
彼は怒ることなく、優しく私をのぞき込んできた。
その顔を見ていたら、どうでもよくなってしまった。
「のど乾きました。」
「じゃあ、コンビニでジュースでも飲んで帰るか?」
「うん!」
そう言いかわして、身を寄せ合って夜道を走った。
私のパトロール初日は、ストーカーを捕まえ、瑞希お兄ちゃんと乾杯して終わった。
後日、ストーカーはちゃんと逮捕され、事件は解決したと教えてもらった。
〔★共同作業は成功した★〕


