「犯人のことだから、どっかで愛子さんを・・・愛子さんと俺らを見てるはずだ。なので、罠をしかけようぜ。」
「「罠?」」
「どうするの、お兄ちゃん?」
「会長、彼女に懐中電灯を渡してください。」
「え、ああ。」
瑞希お兄ちゃんの指示で、夜回り用の懐中電灯を渡す。
「これで、俺らは愛子さんに懐中電灯を私に来たということにして彼女から離れます。」
「え?どういうこと、お兄ちゃん?」
「なぜなら、愛子さんが住みマンションの入り口の電気系統が壊れて、電気がつかなくなってるという設定にするからだ。彼女のマンション、会長の知り合いが管理してますよね?連絡すれば、電気を消してもらえるでしょ?」
「あ、ああ。それは可能だが・・・」
「犯人の行動は日に日に過激になってる。そろそろ、再アタックをしかけてくる。もし、前回襲った場所・・・マンションの入り口がイイ感じに真っ暗になってたなら、今度は成功すると思うんじゃないんすか?」
「そっか!さすが瑞希お兄ちゃん!」
「サナちゃん頭いい!」
「つまり、私にオトリになれと・・・?」
「それを頼むのは心苦しいんですけど、どうでしょうか?俺達であなたの後を尾行しつつ、同じようにあなたを尾行してる奴がいないか探します。絶対に危険な目に合わせません。」
「そうです!僕、頑張ります!」
「・・・わかりました。」
少し黙った後で、お姉さんはうなずく。
「もう・・・5か月もビクビクしながら帰宅してきました。それを終わらせられるなら、現行犯逮捕の可能性があるなら、お願いします・・・!」
「こちらこそ。」
「お願いします!」
「よっしゃ!じゃあ、管理人に電話だ!」
こうして、お姉さんを尾行して、彼女を尾行している奴を尾行したのだった。
〔★世間では二重尾行という★〕


