「むなちゃんか?」
「!?」
電話が終わるタイミングを待っていたように、後ろから会長さんが声をかけてくる。
「は・・・・はい。近くまで来ているので外で待ってるようにとです。」
「あら、もう迎えが来ちゃうの?寂しいわね~」
その後ろから、エコバックを持った奥さんが顔をのぞかせる。
「チョコちゃん、もう少し一緒にいたかったのにね~」
「なに言ってんだ!これからは、パトロールで会えるだろう?」
「いえ、まだ参加するとは言ってませんが?」
〔★話は進んでいた★〕
「チョコちゃん、重たいけど気をつけて持ってね?」
「あ、ありがとうございます。」
エコバックを渡され、中をのぞき込む。
風呂敷で包まれた重箱以外にも何か入っていた。
「あの・・・これは・・・?」
「お菓子も入れたから食べなさい。和菓子ばっかりだけどね。」
「ジュースだと重いから、それはまた今度な!?がははは!」
「あ、ありがとうございます。」
重みのある親切に胸がつくなる。
「チョコちゃん、気をつけてな?」
「はい、失礼します。」
あいさつを交わしながら、お店から離れようとした時だった。
「あら!?『また』置かれてるよ!」
「『また』か?」
(『また』って・・・)
「なにがですか?」
奥さんがしかめっ面をし、会長さんがあきれ顔になる。
不思議に思って聞けば言われた。
「路上駐車だよ。」
「路上駐車?」
奥さんが指さす先を見れば、一般人じゃない人が乗ってそうな車が止まっているのが見えた。
「何度言っても、どけやしない!後で言いに行かなきゃ・・・!」
「お前はやめとけ!ババアより、ジジイがいい!怪我するぞ!?」
「でもねー」
(そんな危ない奴が置いてるのか・・・)
旦那さんの奥さんへの優しい言葉を聞きながら言った。


