彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「むなちゃんか?」

「!?」



電話が終わるタイミングを待っていたように、後ろから会長さんが声をかけてくる。



「は・・・・はい。近くまで来ているので外で待ってるようにとです。」

「あら、もう迎えが来ちゃうの?寂しいわね~」



その後ろから、エコバックを持った奥さんが顔をのぞかせる。



「チョコちゃん、もう少し一緒にいたかったのにね~」

「なに言ってんだ!これからは、パトロールで会えるだろう?」

「いえ、まだ参加するとは言ってませんが?」



〔★話は進んでいた★〕



「チョコちゃん、重たいけど気をつけて持ってね?」

「あ、ありがとうございます。」



エコバックを渡され、中をのぞき込む。

風呂敷で包まれた重箱以外にも何か入っていた。



「あの・・・これは・・・?」

「お菓子も入れたから食べなさい。和菓子ばっかりだけどね。」

「ジュースだと重いから、それはまた今度な!?がははは!」

「あ、ありがとうございます。」



重みのある親切に胸がつくなる。



「チョコちゃん、気をつけてな?」

「はい、失礼します。」



あいさつを交わしながら、お店から離れようとした時だった。



「あら!?『また』置かれてるよ!」

「『また』か?」


(『また』って・・・)

「なにがですか?」



奥さんがしかめっ面をし、会長さんがあきれ顔になる。

不思議に思って聞けば言われた。



「路上駐車だよ。」

「路上駐車?」



奥さんが指さす先を見れば、一般人じゃない人が乗ってそうな車が止まっているのが見えた。



「何度言っても、どけやしない!後で言いに行かなきゃ・・・!」

「お前はやめとけ!ババアより、ジジイがいい!怪我するぞ!?」

「でもねー」



(そんな危ない奴が置いてるのか・・・)



旦那さんの奥さんへの優しい言葉を聞きながら言った。