彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





粘る会長夫婦に瑞希お兄ちゃんは言う。



「凛だけにしたくないんすよ。さっきの件で、勘弁してくださいよ?」

「仕方ないな・・・次は一緒に食べてくれよ?」

「もちろんです。なぁ、凛?」

「お、お言葉に甘えます。会長さん、奥さん、ありがとうございます!」

「がははは!どういたしまして!良い子だな~ちゃんとお礼を言えて!」

「可愛いわ~チョコちゃん!すぐにお持ち帰りの用意をするからね!?」



お礼を言えば、会長さんが私の頭をなで、奥さんは料理を手早く容器に詰めていく。

容器に・・・



「あの、その容器って・・・お正月に使う重箱じゃないですか・・・?」

「ほほほ!いっぱい食べてね~」

「大きくなれよ!?」

「はあ・・・」



答えとは言えない返事に、苦笑いしか出てこない。



「じゃあ、失礼しますね。凛も、またな?」

「あ、待って、お兄ちゃん!」



店から出る好きな人を追いかける。



「見送ってくれるのか?」

「うん・・・!」



携帯を触りながら言う瑞希お兄ちゃん。



「お、返事きたきた。烈司、すぐに迎えに来るってよ。」



そう言って笑うと、私の頭をなでてくれた。



「会長からの料理、みんなで食ってていいからな?ただし、俺の分も残しててくれよ?」

「わかりました。」

「良い子だ。」



私の髪をワシャワシャしてからハンドルを握る。



(一緒に帰れるものだと思っていたのに・・・)



ブロロロローン!!



その期待を見事に裏切って、瑞希お兄ちゃんは仕事に行ってしまった。

彼の姿が見えなくなった直後に携帯がなる。

表示を確認してから出た。



「もしもし、烈司さん?」

〈凛たん、瑞希に置いてかれたってー?〉

「言わないでください・・・」

〈わりぃわりぃ!近くを流してたからすぐに迎えに行けるわ。外に出て待っててくれるか?〉

「わかりました。ありがとうございます。」

〈どういたしまして。じゃ、会長にもよろしく!〉



用件だけ言うと、切ってしまう烈司さん。